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講談社 野間清治と創業物語【5】

原点〜野間清治と創業物語〜

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『雄弁』創刊号。たちまち売り切れ、2刷3000部、3刷5000部まで発行した 清治も編集作業などしたことはない。資金を手にしていよいよ雑誌を作ることができるようになった清治は、印刷所に行き、原稿の束を渡しながらこう言った。
「しかるべく順序を立ててください。活字の大きさとか行間とか小見出し等については、ご研究の上よろしく願います」
要は、何も知らないのだ。慌てたのは印刷所で、「書体はどうするのか」「どの演説原稿を先にするのか」と聞いてきた。清治は再び「そちらで適当にやってください」と答えながら、“活字の大きさなんて世間の雑誌を見ればだいたいわかりそうなもんだ。いちいち聞いてくるなんて、どうも頭が悪いな”と自分のことを棚に上げて思っていた。

こうして1910年2月11日、雑誌『雄弁』(ゆうべん)が創刊された。
にわかづくりの雑誌だったが、『雄弁』創刊号は6000部を即日に売り切った。東京の書店では4時間で店頭から消えたという逸話が残っている。
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