講談社BOOK倶楽部

山口晃制作ノート――「小説親鸞」の世界を鮮やかに描き出す画家。その制作の秘密を少しだけ公開!

1 原稿を読み、アイディアを練る

五木先生の原稿を編集の方が打ち直した(私には読めないので)ものが、ファクシミリで届く。

紙に印刷し(データでなく、手で触れるものにしたい)、アイディアを書き付けてゆく。

2 手製の紙型で、枠線を引く

作画は型紙で枠線を引くところから。

3 下書きせずに描くと...

下描きをしない事が多いので、描き損じがでます。(右上は描き損じの束)

手前は第282回、恵信のつぎあての畫。勢いで始めて二度描き直ししました…急がばまわれですね。

4 こんな画材

とてもローテクです。

紙は、アルシュ(細目)300gを使っています。

山口晃
© ミヅマアートギャラリー

プロフィール

1969年、東京で生まれ、群馬県桐生市に育つ。96年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(油絵)修士課程修了。2001年、第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞。大和絵など、日本の伝統的手法と現代風俗とを融合させた独創的な作品をはじめ、卓越した精緻な技法とウィットに富むセンス、そして社会への深い洞察が生み出す作品群が国内外で高く評価され、幅広い分野で制作活動を展開し、現代アート界の旗手として注目を集めている。08年9月から1年間、全国27の新聞に連載された五木寛之氏の小説「親鸞」の挿画を担当し、大好評を博した。引き続いて11年1月から始まった「親鸞 激動篇」でも挿画を提供。前作に劣らず、話題を呼んでいる。11年には、10年末に幕開けした銀座三越のギャラリーに続き、博多三越でも個展が催された。また、シンガポールでも個展が開催。世界の鑑賞者を魅了しつづけている。