信州・安曇野といえば「信濃富士」有明山を擁する北アルプス山麓。四季折々の自然豊かな実に素晴らしい土地であるため、近年は移住する人々が大変増加していると聞きます。
そんな地に鎮座する「日本アルプスの総鎮守」信濃国三の宮・穂高神社。古い歴史を持つこの神社では「御船祭」と呼ばれる、穂高最大の例大祭が執り行われます。
でも、北アルプス山麓なのに「御船祭」?
その理由は、古代日本を代表する海人・安曇族が神社創立に関わっているからといわれています。しかし、どうして「海人」である彼らが信州の地まで遥々とやって来たのでしょうか。
いや。それ以前に、地名にまでなっている「安曇」ですが、なぜ「安曇」と書いて「あずみ」と読むのでしょう?「安」の「あ」はともかく、「曇」はあくまでも「くもる」「ドン」「タン」であり、どうやっても「ずみ」とは読めません。それなのに「安曇」が「あずみ」?
非常に不思議に思ったので、色々な方にお尋ねしてみたのですが「昔からそうだった」という以上の回答はいただけませんでした。
では、果たしてその理由は――という細かい謎にも今回、桑原崇が挑みます。
そして、忘れてはならない(?)メインのテーマは、先程来の「安曇」そして「綿津見」「宗像」「住吉」などの海人族と「隼人」たちです。
どうか皆さまも、歴史に埋もれてしまった彼らの慟哭に耳を傾けていただき、崇や奈々たちと共に古代悠久の歴史の旅にご一緒していただければ幸甚です。
高田崇史 (たかだ・たかふみ)
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。
『QED 百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー。著作に「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「鬼神伝」シリーズ(2011年アニメ映画化)、「神の時空」シリーズ、『軍神の血脈 楠木正成秘伝』などがある。
『QED 伊勢の曙光』以来、久しぶりの、待望のQED長編です! 2段組です! 読み応えあります!『伊勢の曙光』の刊行記念サイン会に並んだことを鮮明に思い出しました。
あれから8年(作品内時間では1年半くらいですが)。金沢への旅から戻ったタタルさんと奈々ちゃんは、石和へ向かいます。
1年と少し前、高田さんと鵜飼見物をご一緒したときは、それがこの長編に発展すると思っていませんでした。取材後、高田さんの下に鵜飼にまつわるエピソードや情報がどんどん集まってきました。まるで「書いて」といわんばかりに。そして、高田ミステリの白眉といえる作品になりました。皆さんに楽しんでいただけるとうれしいです。
希代の天才・藤原定家が残した百人一首。その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。残された札はダイイング・メッセージなのか? 百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、事件は戦慄の真相を地上に現す!
私、担当Fが高校3年生のときの数学の授業でのワンシーン。出題された図形の例題を、黒板に向かい解いていた。難問だったので、結論に至るまでには何行もの推論が費やされていた。
正解ではあった。が、教師はおもむろにピンクのチョークを持ち、問題の図形に一本の補助線を引き、数行で簡潔に美しく問題を解いた。
「ボ―ッとしていたら、百人一首の謎の解が突然見えたので、書いてみた」と、高田さん。
その投稿作品は、高校生だった20年前の記憶を呼び起こした。
書かれた物語と、見たこともない一枚の表は、「百人一首」を、シンプルに美しく解読していた。
あとはみなさんの知るとおりである。
私たち全員が、高田さんにしか見えない「歴史の一本の補助線」から紡ぎ出される物語に驚き、そして謎解きの喜びに浸る。
そして20年。長い時間に見えるが、歴史の無限の時間を俯瞰している高田さんにとっては瞬間。これからも時間を超えて、高田さんは歴史の難問を次々に解いていかれるであろう。
『QED 憂曇華の時』(講談社ノベルス)の帯に付いている応募券(コピー不可)を切り取り、郵便ハガキに貼付のうえ、郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記して下記までお送りください。
〒112-8001 東京都文京区音羽2-12-21 講談社
QED特製絵馬懸賞係
2020年1月31日(金)当日消印有効
イラスト:「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「鬼神伝」シリーズ装画より