今回の「出雲」は、島根でなく京都です。
京都に、一体どんな「出雲」があるのか……?
最も大きな「出雲」は亀岡の、元出雲・出雲大神宮でしょう。
実際に江戸時代末期頃まで「出雲大社」といえば、この大神宮のことを指していたといいます(島根の出雲大社は「杵築大社」と呼ばれていました)。そして「元出雲」と呼ばれているからには、当然、現在の出雲大社より古くから存在していたことになります。
その他、京都市内にも、怨霊の寺「出雲寺」を始めとして、数多くの「出雲」という名前が残されています。まるで、出雲国がそこに存在していたかのようですが、そんなわけもありません。
では、何故そんなにも「出雲」が多く存在しているのか……。
今回はそんな謎を、主人公の橘樹雅たちが追います。
果たして無事、解答に辿り着けるでしょうか?
旅行もままならぬ時節柄、せめて書物の中だけでも、雅たちと共に京都の旅にお出かけいただければ幸いです。
高田崇史(たかだ・たかふみ)
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。
『QED百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー。著作に「QED」シリーズ、「カンナ」シリーズ、「鬼神伝」シリーズ(2011年アニメ映画化)、「神の時空」シリーズ、『軍神の血脈 楠木正成秘伝』などがある。