【あらすじ】「座敷童子のいる場所は必ず富み、必ず幸いにめぐまれる」困窮する野笛藩の美女くらべを勝ち抜いた十四歳の今井一期(イチゴ)は、江戸城大奥に入り、五十年前に出ていってしまった座敷童子を連れ帰ってくるよう命じられる。イチゴは江戸城に向かう道中、悪漢一味に駕篭を襲われるも、濃紺の羽織の若侍に助けられ、事なきを得る。女ばかりが千人も暮らすかしましい大奥では、さまざまな噂が飛び交い、華やかな行事が絶えることなく続いていた。ある日、御年寄の嵐山の墓参に付き添ったイチゴは、黒法被の男衆に攫われそうになる。すんでのところで助かったイチゴは、再び大奥にて座敷童子を探そうとするが――
『大奥の座敷童子』
著者:装幀:堀川アサコ
装幀:大岡善直(next door design)
題字:中塚翠涛
装画:ど〜ら
定価:本体1,500円(税別)
泣けて、笑えて、ほっこりできる物語は、すべての読者の期待に応えてくれるだろう。
【末國善己/作家】
『大奥の座敷童子』このタイトルで心掴まれました!
謎めいた「大奥」という存在と妖しくも愛らしい妖怪の掛け合わせはタイトルから感じた期待を裏切らないお話でとても楽しかったです。
【内山はるか/SHIBUYA TSUTAYA】
痛快な面白さに爽快な読後! 知られざる大奥の暮らしぶりも活き活きと再現。あたかのその迷宮に入り込んだようなリアリティが感じられる。見せ場もたっぷりで展開も見事!命がけのピンチもあればあふれんばかりのユーモアも……。“ソバ65億杯分の負債”から藩を救うというとんでもミッションの果てには衝撃の結末が――隅から隅までずずずいーっと楽しめるぜいたくな一冊だ。
【内田剛/三省堂書店 神保町本店】
続編の予定はあるんでしょうか?ぜひもっと、イチゴのその後を読みたいです!
舞台は硬いイメージのある大奥だけど、イチゴや唐次、茜、サダさんといったキャラクターがとっても魅力的に生き生きと駆け回っていて、「歴史」としてでなく実際に今、大奥があったらこんなかんじじゃないかなあ?と見ているこっちもうきうきしました。かわゆいイチゴに、無知なところがいい唐次、かっこいいサダさん……。できることならこの本の世界に入って、みんなに会いたくなりました。
【安田有希/紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店】
東北の弱小藩から、50年前大奥に上った女性が連れていってしまった座敷童子を探す藩命を受けたイマイイイチゴ。大奥といえばお局様発祥の地。固苦しくもあるが無邪気なイチゴは人ばかりでなく、大奥の動物に慕われ、妖怪、幽霊の類にも気に入られる。そのイチゴがさらわれた。イチゴは? 藩は? 江戸時代、大奥という枠の中に可愛らしい女の子をポンと入れて想像をふくらませた、天衣無縫な物語。読めば福の神に会えるかも。
【高橋美羽子/有隣堂 戸塚駅西口トツカーナ店】
それぞれのキャラクターが魅力的! 特に主人公イチゴのかわいさハンパない!
少しずつ明かされる謎に「そうくるか!」とさらに物語に引き込まれた。
【猪股宏美/旭屋書店 新越谷店】
昔から、座敷童子の話が好きで、部屋の角とか何となく見えにくいところに目を向ける癖がついている。可愛いイメージで、人に笑顔を届ける座敷童子。素敵だなぁ。堀川さんの文章は優しくて心が穏やかになれる。大奥は謎に包まれていて、妖怪たちにはうってつけの場所だ。お饅頭銜えながら「キャピキャピ」する姿を想像すると、それだけで何とも幸せになるではないか。もしかしたら、堀川さんが「福を呼ぶ神」なのでは・・・と思うくらいにほこほこした気分で読み終えた作品でした。深く理解しようとしなくていい。だって、わからなくていいこともあるから。生きやすくなるためには、あるがままを受け入れることも大事なんだって伝えてくれた。強い意志も感じた一冊だった。
【高橋佐和子/山下書店 南行徳店】
江戸城大奥というと、どんなことを思い浮かべますか ? 意外と、会社の女子更衣室みたいだったと思いませんか?
女性ばかりが千人も暮らす江戸城の巨大な迷宮。そこがあまねく女子更衣室みたいに「キャピキャピ」していたら、さぞや面白いことだろうと思ったのが、この小説を書いたきっかけです。
実際、そんな思惑で資料を集めていったら、出てくるのは怪談怪談怪談......。これは、奥女中たちが台所に立ちながら、はたまた着替えをしながら「あのね、実はね」とおしゃべりに花を咲かせていた証拠ではないでしょうか。
そして今回、なぜに座敷童子が江戸城大奥へと?
座敷童子は寒い東北に居て、住み着いた家を富ます福の神。その子が広い広ーい江戸城大奥に引っ越して、縦横無尽に活躍したら、これまた面白そうだ。そう考えながら書き始めた『大奥の座敷童子』は、最初の思惑をはるかに超えた形で、書き手を楽しませてくれました。
出来ますれば、この物語がいっとき華やかな江戸城に皆さまをお連れし、大奥の迷宮を面白くご案内いたしますことを願っています。
柔らかく、楽しく! お江戸で包んでくれる物語です。
【畠中恵/作家】