上海で育った日中混血の青年、カケル。親元を離れ日々を徒然に暮らしていたが、ビザの更新のため日本に行くことになり、オタクの友人から頼まれたゲームソフトを買うため秋葉原へ辿り着く。その馬鹿馬鹿しくも傑作な結末とは?
――「日本語を学ぶ中国人を読者に想定した小説」、すなわち「カタカナを使わない小説」を書くというコンセプトのもと綴られるカケルの物語は、斬新なルビ使い、日本語と漢語を大胆不敵に混交した文章で、読むものを圧倒します。言語自体を相対化する文章表現、日中現代文化への風刺、漱石や子規他近代文学のパロディなどなど、知的な企みは、新鮮な驚きに満ちています。思わず声を出して笑ってしまうユーモアにも注目してください。「滅法面白い小説」「頭抜けて優れた批評」を一度に堪能できる、真に新しい小説です。
『吾輩ハ猫ニナル』
著者:横山悠太
定価:本体 1,200円(税別)