ただいまラボ 片川優子

『ただいまラボ』表紙

ギンブナに餌をやり、シカの耳を切り刻む、地味~な研究室(ラボ)の日々。でも、獣医学科のきらきらした夢と未来と青春はここにあるのだ!

『ただいまラボ』
著者:片川優子
イラスト:佐伯佳美
ブックデザイン:坂野公一+吉田友美(welle design)
定価:本体1,500円(税別)

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著者メッセージ

理系、獣医、研究室、分子生物学、DNA……多くの方にとって、身近ではない単語のオンパレードかもしれません。この本は、獣医学科のとある研究室を舞台にした小説です。
でも不思議、ふたを開けると、環境は少し特殊ではありますが、大学生の青春が詰まっています。恋や将来に悩み、もがき、時にはうまくいかずに葛藤し、それでも少しずつ成長して行く五人の大学生の姿を描きました。理系の方も、理系が身近でない方も、どこかで誰かに共感して、楽しんでいただけると思います。難しそう、よくわからない……苦手意識を持たずに少しだけ、この世界をのぞいてみてください。読み終わる頃には、少しだけ、分子生物学のことを語りたくなっているかもしれません。
また、獣医と聞くと皆さんは街の動物のお医者さんを想像する方がほとんどだと思います。でも、獣医の仕事はそれだけじゃないんです。獣医のことをよく知りたい方にもぜひぜひオススメですよ!

意外と知られていない獣医学部生の生態がここにあります。片川優子

片川優子(かたかわ・ゆうこ)

1987年東京都生まれ。中学3年生のときに書いた『佐藤さん』で、2003年に第44回講談社児童文学新人賞佳作を受賞し、翌年作家デビュー。
著書に『ジョナさん』『チロル、プリーズ』『100km!』(以上、講談社)「動物学科空手道部高田トモ!」シリーズ(双葉社)がある。

担当者コメント

著者の片川優子さんは、15歳の時に書いた『佐藤さん』で講談社児童文学新人賞佳作を受賞してデビューしました。児童文学から大人の読者まで幅広い層から支持を集める若手作家です。
『ただいまラボ』は現在、獣医学部に通う現役大学院生である片川さんが、獣医学科の研究室に集まる学生たちを主人公に描く理系の青春小説です。「分子生物学」は世間的にはまだあまり知られていませんが、獣医学の未来を切り拓く可能性に満ちた分野です。研究を続けながら、恋に、友情に、就活に悩みながらも、生命の意味を問い、自身の将来に目覚めていく学生たちの姿が、瑞々しい文体で魅力的に描かれています。
5人の学生たちの物語が収められていますが、あなたに近い人物がきっと登場するはずです!

書店員の皆様からの応援の声

SHIBUYA TSUTAYA 内山はるかさん

獣医学科、未来の命のための実験、ペット保険、ペットロス。どれもぼんやりと知っていたことでしたが、改めて考えさせられました。いつかは猫と暮らしたいと思っている私に、読んでいて楽しいながらも、動物を飼うという現実的な問題と覚悟を教えてもらったような気がします。瑞々しく描かれる学生たちに若さとエネルギーを感じ、彼らを応援したい気持ちでいっぱいになりました。

芳林堂書店高田馬場店 飯田和之さん

文系で尚且つ1年で中退した私には、理系が大変だということをなんとなく知っているくらいだったけれど、この作品を読んで少しとはいえ、大変さの中身を知れた気がしている。獣医学部とは言ってもそのまま獣医師に卒業生の方々がなれる訳ではないことを知って、大変さの奥深さがさらに見えて来た気がした。 ひょうひょうとした教授が何か全て把握している仙人のようで、良い味を出しているように思えた。

大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん

恋に友情、研究に就活と、悩みはつきない学生生活。かざり気のない言葉で描かれる青春は、すっと心に入ってきて、とても清々しい。文系一筋の学生生活でしたが、理系もよいものだなと、楽しい気持ちになりました。

小田急ブックメイツ 狩野大樹さん

理系と聞くとしりごみしてしまう僕でも、同じ悩みをもち同じような学生時代をすごした自分を思い出しながら読みました。聞きなれない言葉もわかりやすく面白く描かれていて時には理系の学生をうらやましく思ったり。 生きるものをあつかうのだから死をしっかりうけいれなくてはならないというくだり、そして今しているどんなことも無駄だと思わないで生かしなさいというくだりが心に重く、そして今の自分にも感じることの出来る大事な事だとこの小説が教えてくれた気がします!

紀伊國屋書店横浜みなとみらい店 安田有希さん

「かわいー!」だけではやっていけない動物と、命と、自分と向き合う毎日。正しい道はどれか分からなくとも、その重さを受けとめて進んでいく強さを持ちたいと思いました。

若草書店八木駅店 平田有子さん

ペットを飼う人にはとても身近で、同時にとても頼りにしている獣医師さん。いわゆる動物のお医者さんがそう呼ばれるまでに何を学び、何を感じるのかがさわやかにつむがれていてとても読みやすかったです。何かの生き死にに直結しているからこその痛みやなやみが、彼らを頼りにするしか出来ない犬の飼い手である私にはとてもありがたく、やさしくひびきました。どうすれば命を救えるのか、もっと何か出来るコトがないのか、一生懸命に悩んでくれる彼らがいるから安心して動物たちと生きていけるとあらためて感じました。

文教堂西葛西店 水野知博さん

学生だった頃を思い出すなつかしいストーリー。日々の忙しさに追われる中、あの頃の瑞々しさを思い出させてくれました。どの篇もスーッと心に染みていき、ラストの「ブンセイ!」でグッと摑まれました。

精文堂書店中島新町店 久田かおりさん

いやぁ、理系の青春、いいですねぇ。4年生から研究室に所属しそれぞれ専門的分野の研究をしていく彼らの、将来への悩みや迷い、命を預かる事への負担と覚悟、そして、恋。特殊な世界にいる彼らの特別で当たり前の毎日に「よしよし、今度一緒に飲みに行こうぜ」と思わず声をかけたくなる。なんだか自分も青かった頃に戻ったようでとっても清々しい一冊でした。

三省堂書店神保町本店 内田剛さん

尊い“いのち”と真正面に対峙して一途に突き進む青春の1ページ。頭も身体もフル回転。ままならぬ研究生活にもどかしい人間関係……文句なしのリアリティと読後の気持ち良さはとにかく最高!!この清々しさと眩しさは大いなる才能といえるだろう。あの頃の自分と仲間たちに再会できる一冊だ。

明林堂書店鶴見店 後藤良子さん

物語の舞台が獣医学科ということで、マンガの『動物のお医者さん』(佐々木倫子・著/白泉社文庫)をイメージしましたが、あの作品とは違った形の獣医学の世界が広がっていました。単純に自分の知らない世界をかいま見ることができたことが楽しかったです。そして、太一やミカたちの、恋愛や将来に悩み落ち込みながら、研究、実験、実習を次々にこなすことで見えてくるものがあり、前に進む手がかりをつかんでいく姿がまぶしかったです。(個人的には「ネガコン!」の新倉さんが自分と重なる部分があってチクチクと刺さってきました。)自分も大学生に戻って、なんでもかんでも目いっぱいチャレンジし直したくなりました。自分の中に株化細胞を作る、そんな時期だった筈ですね。知らず知らず読んでいるうちに前向きな気持ちになります。

くまざわ書店南千住店 阿久津武信さん

誰もが通り過ぎる青春の一コマ一コマを「リケジョ」ならではの切り口で採取されたエピソードは、自分の青春時代を懐かしく思い出すと同時に、やり直せない悔しさも沸き起こり、それでもやはり自分の経験ではまだまだ足りなかったことにも気付かされ、あっという間に読み終わっていました!

谷島屋浜松本店 中土居一輝さん

最初は、全国にわずかしかない獣医学を学ぶ学生たちの物語ということで、どんな不思議でおかしな物語かと身構えていました。といっても全然複雑怪奇でもなく、もろに理系でもなく、とても身近な空気感が漂う学生たち。タイトルにもある“ただいま”と言ってみんな悩みながら、成長して戻ってこられる“ラボ”という場所が羨ましい限りです。そんな場をつくりあげている“アインシュタイン”に似ている先生の存在が大きいのかなぁと思いました。 理系の青春小説を楽しませていただきました。

MARUZEN名古屋栄店 竹腰香里さん

獣医学部を舞台に、仲間と奮闘しながら自分の信じた道に進む主人公たちが眩しかったです。獣医学部というと、動物を助けるスペシャリストな人たちというイメージなのですが、私と同じように思い悩み成長していくんだと思いました。社会に出ると、気持ちが揺らいで迷いが生じた時に、このままでいいの?と感じる時がままあります。そんな時に、このような作品に出会えるといいなと思いました。

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