個性的なファッションのせいで周囲から浮いてしまった過去を持つ郁美(いくみ)は、高校に入学し、お調子者を演じるやくざの組長の息子・海江田(かいえだ)と、心を閉ざし人とコミュニケーションを取ることを厭(いと)う伊奈(いな)と出会う。互いの孤独を感じ、惹かれ合った三人。自然と行動をともにするうちに、海江田が捨て子の赤ん坊を拾い、知人の女子高生が殺される。彼らが巻き込まれた奇妙な事件と、傷ついた三人が見つけた真実とは……?
『シャンプーが目に沁みる』
著者:山下貴光
定価:本体1,500円(税別)
作品を書くにあたってまず頭を悩ませるのはキャラクター作りである。これが決まらないと何もはじまらない。人物造形がはっきりすると登場人物が動き出し、会話を交わし、物語も進む。実際に近くにいると煩わしいが、離れた場所から眺めるととても魅力的に映る人物。そんなキャラクターをいつも模索している。
今作『シャンプーが目に沁みる』の登場人物ももちろんユニークかつ癖のあるキャラクターが揃っている。熱血漢、独特、生意気。そんな人物たちが集まれば会話も弾む。青春まっただ中の人も、放課後の香りが懐かしい人も、羨ましくなるような仲間たちに出会えるはずです。
1975年、香川県生まれ。京都学園大学法学部法学科卒業。 第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2009年『屋上ミサイル』(宝島社)でデビュー。他の作品に、『鉄人探偵団』『屋上ミサイル 謎のメッセージ』(宝島社)、『HEROごっこ』『有言実行くらぶ』『丸亀ナイト』(文芸社)、『ガレキノシタ』(実業之日本社)などがある。
『屋上ミサイル』でこのミス大賞を受賞し、衝撃的なデビューを果たした山下さんが描く、新たな青春ミステリが誕生しました! ステキなカバーイラストは、漫画家の佐原ミズさんから。屋上で雨の中、ふざけあっている三人たちのドラマは、かつて高校生だった自分を思い出させます。彼らの揺れ動く感情、そして、傷つきながらも前に進もうとする少年少女たちの青春を、ぜひ、応援してあげてください!