講談社BOOK倶楽部

ルーズヴェルト・ゲーム 池井戸潤

ルーズヴェルト・ゲーム

表紙

「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。

監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。
創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。 一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。野球部の存続をめぐって、社長の細川や幹部たちが苦悩するなか、青島製作所の開発力と技術力に目をつけたライバル企業・ミツワ電器が「合併」を提案してくる。青島製作所は、そして野球部は、この難局をどう乗り切るのか?
人生を賭した男達の戦いがここに始まる。

『ルーズヴェルト・ゲーム』
著者:池井戸潤
定価:本体1,600円(税別)

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著者メッセージ
つまらん時代になってきたなあ。
世の中の景気はいつまでたってもパッとせず、「リストラ」なんて言葉はバブル崩壊後に突如出現し、いまや子供でも知っているお馴染みだ。
会社からも世の中からも、ムダのレッテルが貼られたものは次々と削られていき、ムダだけ削っていたつもりが、知らぬうちに余裕まで削られてしまった気がする。
だけど、カネを生まないのがムダなのか。ムダはホントにダメなのか。
本書のテーマは、社会人野球だ。たしかに、会社が野球部なんか持ってたところで、利益を考えればいいことはあまりないだろう。野球部に限らず、企業スポーツはいまの世の中からどんどん削られていく「ムダ」の最たるものだと思う。 だけど、ムダから生まれる余裕もあるんじゃないかな。余裕もムダもない社会は魅力的ですか? ぼくは余裕もムダもある社会のほうが好きだな。
社会全体が遊びのないハンドルになってしまったら、つまらない。ほんの少しのムダでいいから、そこに置いておく余裕が欲しい。削れるけど削らない余裕というか。そんなところに、人としての、また社会としての懐を感じてしまう。
プロフィール
池井戸潤(いけいど・じゅん)
1963年、岐阜県生まれ。
1998年、『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞、2010年、『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞を受賞。
著書に『架空通貨』『銀行狐』『銀行総務特命』『仇敵』『BT’63(上)(下)』『不祥事』『空飛ぶタイヤ(上)(下)』などがある。