人間の
大江戸釣客伝 上下
夢枕獏
装画:松本大洋
『大江戸釣客伝(上)』
著者:夢枕獏
定価:本体1,600円(税別)
『大江戸釣客伝(下)』
著者:夢枕獏
定価:本体1,600円(税別)
生類憐みの令が出された元禄の世に日本最古の釣り指南書『何羨録』を著した旗本・津軽采女を中心に描く、釣りに憑かれた人々の人生!釣り勝負の妙、名人の業――そして絵師・朝湖と俳人・其角が釣り上げた土左衛門の正体は!?こうやって、竿を出していれば、陸でのあれもこれもみんな夢みてえなもんだ。釣れぬ釣りは、自分との対話である。糸を下ろしているのは、海の底では無く、自分の心の底だ。釣り船を出した咎で絵師・朝湖は三宅島へ島流しとなり、江戸では支援の秘策が練られる。赤穂浪士の討ち入り、大地震による火災、津波……と、江戸の町が騒ぐなか、釣り人たちの運命は!?そもそも釣りは人の道にあらず、外道の道なり。この道に生き、この道に死して悔いなし。自分の握るこの竿は、人が生きてゆくための杖である。作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 |
釣りは、もの狂いの一種である。鬼が憑く。愚かで滑稽で、ある意味では、女よりも博打よりも罪深い遊びであり、そして、この釣りが、時に人を救ってくれたりもする。
江戸浦で、謎の土左衛門を釣りあげてしまったのは、俳諧師宝井其角、絵師英一蝶。このふたりと、旗本津軽采女が、釣りの泥沼の中から、元禄という忠臣蔵の時代を覗く。
あなた、間違っても釣りをしてはいけませんよ。
怖いことになりますよ。