猫弁
大山淳子
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婚活中の天才弁護士・百瀬太郎は、毎日持ち込まれるやっかいな依頼に悪戦苦闘。――とにかく引き受けて、共に考え、解決の道を探したい。
黄色いドアの向こう側、猫いっぱいの事務所で人と猫の幸せを考える日々に、新たな依頼が舞い込んだ。「霊柩車が盗まれたので取り戻してほしい!」すべてのピースがつながった後には、誰にも予想できない結末が待っている。
笑いあり涙ありのハートフル・ミステリー!
『猫弁【完全版】 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』
定価:本体1,400円(税別)
【文庫版】
『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』
定価:本体629円(税別)
はじめまして。『猫弁』を書いた大山と申します。去年、この小説で原作大賞をとり、このたび初出版となりました。授賞式で、TBSの役員さんから「猫の弁当の話?」と聞かれました。ちがいます。猫がいっぱいいる弁護士事務所のお話です。主人公・百瀬太郎は、天才レベルの頭脳の持ち主です。しかし生き方は不器用で、常に損を引き受けるお人好し。そんな百瀬が前代未聞の霊柩車ジャックの謎にせまります。
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お見合い31連敗の後プロポーズされた天才弁護士・百瀬のもとに、一通のメールが届いた。「はじめておたよりします。ぼくはタイハクオウムが心配で、昼も眠れません。透明人間より」百瀬は透明人間が発する数々のピースを繋ぎ、法廷に奇跡を届けるため奔走する。
『猫弁と透明人間』
定価:本体1,400円(税別)
こどもの頃からヒーローにあこがれていました。ヒーローに救われるお姫さまではなく、ヒーローになりたかったのです。「かっこよさって何だろう?」ってずっと考えてきました。そうして百瀬太郎が生まれました。
これは一作目の『猫弁』完全版の冒頭に書いた「受賞のことば」の一部です。
百瀬はお見合い31連敗、彼女いない歴39年。築40年のアパートに住む天才弁護士です。くせ毛がひどく、祖父の形見の丸めがねをかけており、事務所は猫だらけで、貯金はありません。ここで彼のことを書けば書くほど、かっこ悪く見えてしまい、真の魅力を伝えるのは難しいので、ぜひ第二弾『猫弁と透明人間』を読んでください。百瀬の魅力の一部が伝わるかと思います。
もし伝わらなかったら、第三、第四とシリーズを読んでください。まだ書いてはいないけど、書くかもしれません。
こんな人が実際にいたら、ずいぶんと世の中が明るく見えるんじゃないか。そんな思いをこめて、百瀬を書いています。
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密室で、女優の飼い猫が妊娠した! 調査を進めながら、婚約者との旅行の準備をする天才弁護士・百瀬太郎。しかしそこに、盟友のまこと動物病院を訴えるという電話がかかってくる。彼女との待合せは数時間後。果たして百瀬の決断は?
『猫弁と指輪物語』
定価:本体1,400円(税別)
去年の今日、『猫弁』で作家デビューした大山と申します。第一作が念願のドラマ化。いい気になったわたしは続編『猫弁と透明人間』を執筆し、刊行。こちらもドラマ化が決定し、今まさに撮影が終わったばかり。放送は春の予定です。お楽しみに!
主人公百瀬太郎は四十歳独身です。弁護士だけど貧乏でぼろアパート住まい。おまけに女性との交際経験無し。ところが婚約者はいる。このような妙な人物がみなさんにあたたかく受け入れられていることに、作者のわたしは驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
ちょうしにのって、第三弾『猫弁と指輪物語』を書きました。今度の依頼は密室猫妊娠事件。密室です! やっとミステリ
ーっぽくなってきました。いよいよ本格ミステリ突入か?
いえいえ、『猫弁』は「癒ミス」です。読むとあたたかい気持ちになって、元気がでる。みなさんのビタミンみたいな存在になれたらなって思います。
東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。2011年、本作で第3回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞。