私の命はあなたの命より軽い 近藤史恵

『私の命はあなたの命より軽い』 表紙

『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!

東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。実家で何があった? 明らかになっていく家族を襲った出来事とは――。

『私の命はあなたの命より軽い』
著者:近藤史恵
定価:本体1,400円(税別)

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著者メッセージ

タイトルを考えるのは苦手な方なのに、この小説に関しては書く前からタイトルが決まっていた。
『私の命はあなたの命より軽い』。不快感のあるタイトルだということは重々承知している。でもこのタイトルでなければこの話は完成しないと思っている。

子供の頃からずっと不思議だった。教師やテレビだけではなく、あらゆる人が「命は大切だ」などという。でも、本当に命は大切にされているのか、と。

同じ生き物でも虫は簡単に殺されて、人はそうではない。途上国の人々と、先進国の人々の死亡率の違いは大きい。日本だけに目を向けてもそうだ。毎年数万人の自殺者を出しながら、対策はそれほど取られず、「人身事故」という電車のアナウンスに、乗客は舌打ちをするだけだ。

それでもそのお題目は唱えられ続ける。「命は大切だ」と。

別に誰かを責めたいわけではない。私だって、この世界を構築するパーツのひとつで無罪なわけではない。ただ、どうしても。「なぜ?」という疑問はぬぐえない。 「私」がいったい誰なのかはぜひ、本を手にとって確認してほしい。

近藤史恵(こんどうふみえ)

1969年、大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。
1993年に『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。
2008年には『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞、第5回本屋大賞2位となる。
近著に『はぶらし』『キアズマ』『さいごの毛布』『胡蝶殺し』などがある。

書店員さん激賞のコメント!

担当者コメント

出産のため久々に実家へ戻った遼子が覚える、家族の間にある違和感。遼子同様に、読者はとまどうはずです。父、母、もしくは妹に何が? ドキドキする展開の中、登場人物が漏らした一言は「どうして人の命の重さには違いがあるの?」 そこに大きな謎が秘められています。女性心理を描くことに定評のある著者ならではのサスペンス&ミステリーは最後の最後まで、読み手にグサッと突き刺さります! そして「命の重さ、尊さ」を改めて感じさせ、読み応え充分です!!