講談社BOOK倶楽部

すべて真夜中の恋人たち 川上未映子

写真:石倉和夫

『ヘヴン』から二年、心迷うすべての人々に贈る、著者初の長編恋愛小説


装幀/名久井直子 

『すべて真夜中の恋人たち』

著者:川上未映子

定価:本体1,600円(税別)

購入する

あらすじ

入江冬子、34歳はフリー校閲者。人づきあいが苦手で孤独を当たり前のように生きてきた彼女の唯一といっていい趣味は、誕生日に真夜中のまちを散歩すること。友人といえるのは、仕事でつきあいのある大手出版社社員で校閲局勤務の石川聖。ふたりの共通点は、おない年で出身県が一緒であること。ただ、それだけ。冬子は、ある日カルチャーセンターで初老の男性と知り合う。高校の物理教師という、その男性の「今度は、光の話をしましょう」という言葉に惹かれ、冬子は彼がときを過ごす喫茶店へ向かうようになる。少しずつ、少しずつ、ふたりの距離は縮まってゆくかにみえた。彼に触れたいという思いが高まる冬子には、高校時代に刻みつけられたある身体の記憶があった――。

 いつか消えてしまうけれど、でも今は、ここに確かにあると信じられるもの、信じたいもの。
 淋しさや感情や記憶や、わたしたちのあいだにある、見えるもの、見えないもの。それらについて、どうしても書きたかった恋愛小説です。
 まるで人生にちりばめられた、儚いけれどそれだけがあれば生きていける光のようなもののことをずっと想って、それだけを想って書きました。読んでくださったあなたのなかの、どこかが、誰にもわからなくても、ほんの一瞬でも、そっと発光してくれますように。そしてそれがちからになりますように。それだけを祈るような気持ちで願っています。

川上未映子

川上未映子プロフィール

1976年8月29日、大阪府生まれ。
2007年、デビュー小説『わたくし率 イン歯ー、または世界』が第137回芥川龍之介賞候補に。同年第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。08年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。09年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。10年『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。

担当編集者コメント

前作『ヘヴン』で「善悪とは何か」という哲学的テーマに挑んだ川上氏が、これまでの「恋愛小説」の枠組を大きく飛び越え、34歳と58歳の男女の不器用な交流を通じて、「恋愛とは何か」、「孤独とは何か」という人間な根源的なテーマを問う問題作です。孤独なふたりの魂が触れあったとき、世にも純粋で儚い物語がはじまり、哀しく美しい結末が待っています。

読者モニターから熱いメッセージが続々届いています!

  • ★川上さんが描く恋愛とはどんなものか。とても期待があった。そして期待は裏切られなかった。物語後半から一気に展開し、どんどん作品世界に引き込まれていく。川上さん独特の心情描写もすばらしい。自分は男性だけれども、多くの女性に読んで欲しい一冊である。(30代・男性)
  • ★読んでいるとじわじわと私に浸透してあるころの懐かしさを思いおこさせてくれる、そんな物語でした。これを機に冬子は大きく変わってしまうのでしょうか。そんな物語のようなことは起こってほしくはないような、こんな冬子のままであってほしいような、物語の続きを思わずにはいられませんでした(40代・女性)
  • ★ひとりの女性の新たな歩みに立ち会わせてくれる『すべて真夜中の恋人たち』。この小説は、つつましくもたしかな光を読者の胸深くへもやさしく届けずにはいられない。(20代・男性)
  • ★光の話はうらやましいほどロマンチックだった。「枕元の光が、宇宙に」――。そんな気が遠くなるような、めまいのような、幻想のような事実を感じさせてくれる恋人を私は持ったことがない。私も、もっと静かに、できるだけ丁寧に生きてみよう。(30代・女性)
  • ★最後の三束さんの嘘を知ったときの冬子の感情は具体的に描かれていない。だからこそ、彼女がゆっくりと彼を忘れるまでにとった行動に、私は自分でびっくりするほどの涙を流した(30代・女性)
  • ★世の中の多くの人が、ひとりの夜には光を求めて彷徨っているようなものだ。ときには暗闇に沈みたくなっても、自分が落ち着ける明るさに出逢えることがどれほど幸せか、それを想像しただけで満ち足りた気分になった。(20代・男性)
  • ★この本は決して恋愛だけではなく、生きるうえで不可欠な人とのかかわりのなかで、「いかにおぼえていること」と「いかに忘れるか」の大切さを教えてくれた。すべての思い出と寄り添っていこうと感じさせてくれる、そんな一冊だった。(20代・女性)
  • ★最後の最後まで読んだとき、すべてわかったような気がした。もちろん、すべてではないかもしれないが、「あぁ、なるほど」と思えたのだ。タイトルの意味、そして登場人物のゆくえ。哀しく、しかし、希望のある終わり方だったと思う。恋は青春限定ではなく、いつになってもするもので、また何歳になっても恋に悩まされて生活をするということが描かれていた。読み終わると綺麗な気持ちになっていた(10代・男性)
  • ★切なく、儚く、駆け引きなんてできない純粋な想いに打たれた。 (10代 女性)
  • ★冬子の恋心の純粋さに、胸が痛い。三束さんの「男性の気持ち」にも寄り添える。 登場人物と自分が重なり、勇気を与えてくれる恋愛小説。 (20代 女性)
  • ★冬子に自分の恋愛体験を重ね、その切なさ愛おしさに涙した。 恋愛だけでなく、いま苦しんでいる人、悲しんでいる人も共感できるのでは。 私の救いになった一冊。 (40代 女性)
  • ★会話がすばらしい。文章がすばらしい。 私とは世代の隔たりがある登場人物たちの言動にも 全く違和感がなく、不思議な気がします。 (70代 男性)

書店員さんからも力強い応援メッセージが届いています!

  • ★登場人物たちは私たちと同じ、孤独、迷い、心のすれ違い、どうにも抑えきれぬ感情などを抱えて生きている。平凡な設定。それでいて読んで感じる盛り上がりは、不思議なほど大きい。美しい感動が残り、また読みたくなる。この小説を読んで、ますます女性という生き物が愛おしくなりました。【MARUZEN & ジュンク堂書店 渋谷店 三瓶ひとみさん】
  • ★作中の全員が孤独だ。それもひりひりするような孤独ではなく、気つけば誰ものすぐ傍らにあるような孤独。主人公は切実な恋を失うが、しばらくして「言葉」が訪れる。見事な着地だと思う。【有隣堂 アトレ亀戸店 高橋美羽子さん】
  • ★本を読んでいると、たった一言で、物語がグッと動く瞬間がある。そんな強い言葉を持っている川上未映子という作家はすごい。読めて、とても幸せでした。【リブロ 池袋本店 幸 恵子さん】
  • ★キラキラと眩(まばゆ)く清々(すがすが)しい無数の光に溢れた物語。“耳を澄まして”味わいたい一冊。【三省堂書店 営業本部 内田 剛氏】
  • ★男性が読んでも、すごく面白い恋愛小説!【ジュンク堂書店 新宿店 勝間 準氏】
  • ★最後に主人公が記した「言葉」に、何だか凄く心が騒ぎました。弱い人、強い人、優しい言葉、意地悪な言葉、みんな良かった。【文教堂 浜松町店 大浪由華子さん】
  • ★いろんな「せつない」が詰まった物語。それを際立たせる、美しい文章。読後、「真夜中」の先に、優しく包む「光」が見えてくる。【紀伊國屋書店 横浜店 川俣めぐみさん】
  • ★心が通じたと思ったのに、幸せがこぼれていく。生涯一人、と決めたのに子どもができる。私自身に贈られたかのような、恋物語でした。【紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店 安田有希さん】
  • ★人生は、自分で生きていくしかない。弱々しいOLがだんだん大人になってゆく姿に心を奪われた。【有隣堂 戸塚モディ店 安田信之氏】
  • ★なんてきれいな、なんて哀しい恋愛小説なんでしょうか……。きっと共感できる女性は多いと思う。【三省堂書店 京都駅店 安達仁美さん】
  • ★感動モノじゃないのに、なぜか涙が溢れてきた。恋愛小説で泣いたのは初めてかも。“自分の物語“に思えてしょうがなかった。【紀伊國屋書店 梅田本店 小泉真規子さん】
  • ★一語一句に共感し、決して他人事ではないと丁寧に読みました。本筋はサラッと流れ、本当に伝えたい事、語りたい事が、読む者の脳裏に焼き付いてくる、稀有な作品だと思います。【MARUZEN & ジュンク堂書店 梅田店 中村優子さん】
  • ★大人の恋の悦びと痛みがひしひし伝わる。でも、真夜中の光はその全てを受け止めてくれる……。いろいろ教えられた小説でした。【ジュンク堂書店 大阪本店 一柳友希さん】
  • ★現在の独身女性の心を真正面から繊細に捉えた小説。登場人物たちも、実際周りにいそうだ。【旭屋書店 天王寺MiO店 奥村麻希子さん】
  • ★冬子のダメさ。聖(ひじり)の女の嫌な感じ。三束(みつつか)さんのズルさ。人間の感情の起伏や嫌らしさが赤裸々に描かれ、激しく共感した。【ブックファースト 阪急西宮ガーデンズ店 岸田安見さん】