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ノベルス版装幀(イラスト:redjuiceさん)をもとにしたPVです。音楽も 『ルー=ガルー』のためだけに製作されました!
TOKYO FM「東京ガベージコレクション」×『ルー=ガルー2』公開録音の完全版を以下のサイトで公開中!!
お待たせしました! 『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』出版を記念して行われたTOKYO FM「東京ガベージコレクション」の番組収録風景を完全公開。小説家・平山夢明さんと、京極夏彦さんのフリートークは必見です。
──1作目の『ルー=ガルー 忌避すべき狼』が出てから10年ぶり、待望の続編ですね。
10年ぶりと言っても、そんなに「間が空いた」という感覚はないですね。続編という位置づけではないにしても、『覘き小平次』から『数えずの井戸』までだって8年空いてるし、大体『邪魅の雫』を書いてからもう5年はたつでしょう? それに10年間毎日同じことやってるわけで、質量としてはゼロに等しいですから(笑)。
──久々の『ルー=ガルー』ということで、内容やキャラクターを忘れていませんでしたか。
覚えてました。1作目が2009年に講談社ノベルス版になったので、その時に読み返して手を入れてますからね。だから実質、インターバルは2年もない。
ただ、この作品は10年前に書く予定だったものなんですね。そもそも1作目を書き終わった時点でシリーズ化の依頼はされていて、5作目くらいまでは考えた。2作目なんかは書き始めてたんです、冒頭。僕は全部決めないと書けないんで、つまり決めてから10年たつわけですね。だから多少は忘れてました。決め台詞とか。要所要所で「何だったっけ?」ということはありましたけど。
──ストーリーを全部決めてから書き始めるんですか。
ストーリーというか、全部決めます。だから作業はものすごくシステマティックなもんですよ。便所掃除をするのと一緒。まず、たわしでこする前に洗剤でしょ、ちょっと間をおいて汚れが浮いてきたらハイこすりましょうね、みたいな。段取りを機械的にこなすだけですよ。だから、ドリフ見ながらでも仕事ができる(笑)。
とはいうものの、今回の『ルー=ガルー2』は、10年前そのまんまというのも気が引けたので、当初予定していた2作目と3作目のエピソードをリミックスしちゃいました。
──近未来を舞台にしたのはなぜでしょう。
『ルー=ガルー』は主役側に殺人者がいます。でも、主役だからといって殺人が正当化されてしまうというのはおかしいですね。そういう懊悩を描くならともかく、そうでないなら何とかしなくちゃいけない。テレビの時代劇だと悪人をバッサリ斬り殺しちゃって終わりでも違和感はないんでしょうが、僕は「江戸時代だってそれはダメでしょう」という小説を書いてるわけで(笑)。現代を舞台にして、しかもエンタテインメントとして仕上げるのはハードルが高いですよ。そこで、まあ近未来の架空世界の話にしてみました。未来の小説ですが、SF的な発想が先にあったわけじゃないんです。
だから、1作目の単行本が出た時も、SFというカテゴライズにはやや抵抗があったんです。そしたら山田正紀さんに「少女武侠小説ですよ」と言われた。それはいいなと思ったんですが、本作なんかは武侠小説でもなくなっちゃってますね(笑)。
それから、あんまり指摘されませんが、「ルー=ガルー」は「お化け」の名前ですからね、一応。1作目は「人狼」だし、2作目は「夢魔・淫魔」です。いわゆる「西洋妖怪」がモチーフなんです。モチベーションとしては百鬼夜行のシリーズと同じ。だから、舞台こそ近未来だけれども、これは百鬼夜行シリーズの続きと考えていただいていいです。
──シリーズを通しての読みどころはどこですか。
人によるんでしょうけどねえ。主役の女子達の関係性が、微妙に変化して行く感じというのがうまく出ればいいなと思って書いてはいましたが。劇的に変化したりはしないんですけど、徐々に気安くなっていったり、逆に距離をとってみたり、じわじわ変わっていく感じ。敵味方とか男女の恋愛関係とか、そういうわかりやすいものじゃなくてですね、単純な好き嫌いでもないんだけど、でも1作目と2作目だと明らかにキャラの関係性に変化があって、2作目でも最初と最後だと結構違う……はずなんですが。
人と人が出会ってから安定した関係を築くまでって、結構いろいろあると思うんですけども、そのへんをショートカットしちゃうケースって結構多いんですよね。恋愛小説なんかでも、好きになってからの方が面白いんだろうし、というか、それが前提で嫌われたり嫌ったりくっついたり離れたりというのが筋書きの骨子になるんでしょうけども、それ以前の、どうでもないところがいいなあと思って。
──じわじわと親しくなる過程が書きたい、と。それを男女ではなく少女達でやったわけですね。
「男はみんなそうだ」とか「女性だからこうなんだ」とかいう決めつけって、わかりやすいというか、ギャグとしては面白いんだけども、僕は嫌いなんですよね。大体はずれてるし。考え方や性向や性格、人間性がそこまで性別に規定されちゃうとは思えないんですね。だから「男でも女でも関係ないし」という線の集団劇を狙いたくて、そしたらメインキャラが少女6人になっちゃったんです。いや、いわゆるガッチャマンシフトにはしたくなかったというのもあるし。6人全部が主役というのがいいなと思って。
1作目ではまだ6人出そろってなかったんですけど、2作目はそろってるので、出番や見せ場のバランスとるのが難儀でしたけど。
いや、今思えば、48人にしておけば良かったかもですね。大変でしょうけど(笑)。
そして、3作目の構想も語られた――。
劇場用アニメーション『ルー=ガルー』
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