ローカル線で行こう! 真保裕一
絶望を希望に変えろ! この大逆転劇に、乗り遅れるな!
廃線間際の赤字ローカル線。故郷の未来を託されたのは、たったひとりの新幹線アテンダント――
- 篠宮亜佐美(しのみやあさみ)新社長に就任した元新幹線アテンダント。一日に50万円を売り上げるカリスマ。31歳、独身。
- 鵜沢哲夫(うざわてつお)県庁の若手幹部候補だが、現在は”お目付役”としてもり鉄に出向中。副社長を務める。
- 五木田陽造(いつきだようぞう)森中町長にしてもり鉄会長。地元経済界の有力者で、亜佐美を大抜擢した張本人。
- 町村かおり(まちむら)経理担当。アテンダント見習いも兼務。哲夫のことが気になる?
- 山下修平(やましたしゅうへい)営業課職員。亜佐美ファンクラブを結成するお調子者。
- 村上伸一郎(むらかみしんいちろう)営業課職員。旅行代理店から転職してきたアイデアマン。
- 馬場山泰成(ばばやまやすなり)最古参の運転士。亜佐美の就任には冷ややか。
- 星山光太(ほしやまこうた)美声の男前技術課員。亜佐美の隠れファン。
- 飛高仁三郎(ひだかじんざぶろう)建設会社社長。株主であり、もり鉄シンパ。
- 矢島栄一(やじまえいいち)県副知事。もり鉄をめぐる「ある計画」の推進者。
- 藤井優理子(ふじいゆりこ)県庁職員で哲夫の恋人。いまや関係は微妙……。
- 陣野尚彦(じんのなおひこ)経済商工観光部長。哲夫を出向させた直属の上司。
- 石垣毅(いしがきたけし)謎のコンサルタント社員。五木田と因縁アリ!?
- 皆川充(みながわみつる)亜佐美の元恋人。大手広告代理店社員。
【もりはら鉄道】通称もり鉄。JRから第三セクターに移行し、県・市町村・民間企業・個人株主によって運営される単線ローカル線。社員数58名。原坂市・森中町をまたぐ総延長42キロ、全17駅。沿線には随閑寺の藤棚や小室渓谷などの名所がある。年間赤字は2億円を超え、目下、廃線の危機に瀕している。
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お金がないなら、知恵を出すのよ! もりはら鉄道新社長・篠宮亜佐美(31歳独身)の果敢な挑戦が始まった。立ちはだかるのは、やる気を失った社員たち、一筋縄ではいかない経営幹部、そして、亜佐美らを次々と襲う不穏な事件。「もり鉄」に明日はあるのか!? 人々の希望を乗せた列車は、感動の終着駅に向かってひた走る!
感涙必至の名作『デパートへ行こう!』から3年半、著者真骨頂の傑作長編誕生!
『ローカル線で行こう!』
著者:真保裕一
定価:本体1,500円(税別)
通称「行こうシリーズ」の第2弾です。前作の『デパートへ行こう!』では、失われた家族の風景が隠しテーマになってましたが、今回は、失われつつある故郷の風景について考えてみました。私の母方の田舎が、とあるローカル線の沿線にあり、夏休みのたびに、のんびりと鈍行列車で帰省したものでした。が、都市への一極集中で、地方の過疎化は進み、全国のローカル線はどこも危機に直面しています。
てなことを書くと、どうやら小難しそうな話だな、なんて警戒する人がいるかもしれませんが、どうかご安心を。『デパート』同様──いや、さらにも増してパワフルな物語に仕上げました。ローカル線の社長に、若い女性が抜擢され、縦横無尽の活躍をするのです。私の小説ですから、もちろん事件も勃発します。
これぞエンタメの王道、を目指して書いたつもりですので、ぜひお読みください。
真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年生まれ。
1991年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。
1996年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、1997年『奪取』で第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎賞を受賞。近著に、『天使の報酬』『天馬空をゆく』『アンダルシア』『猫背の虎 動乱始末』などがある。本作は『デパートへ行こう!』に続く、再生物語第2弾。