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呉越春秋 湖底の城 宮城谷昌光

呉越春秋 湖底の城/宮城谷昌光

一巻 人材こそ、国と家の宝。その宝を、自らの目で得る!

三国志より600年前の春秋戦国時代に、身体も心も誰よりも大きな男がいた。その名は伍子胥。春秋五覇の立役者・范蠡(はんれい)の好敵手であり、「死屍に鞭打つ」で知られる彼の、初めて描かれる真の魅力。伍子胥は20歳で得た従者二人とともに、兄の治める邑(まち)へ旅立つ。兄のもとに優秀な臣下を集めるため、自分の目でその能力を見極めるべく、武術大会を開催することを決める。若き伍子胥が人の「主」となるまでを描いた、【伍子胥篇?旅立ち】

呉越春秋 湖底の城(1)

『呉越春秋 湖底の城(1)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体1,600円(税別)

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呉越春秋 湖底の城(1)

講談社文庫
『呉越春秋 湖底の城(1)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体581円(税別)

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ニ巻 人は、恩にも仇にも報いねばならぬ。

呉との国境近くの邑(まち)・棠(とう)を治める兄・伍(ご)尚(しょう)を助ける伍子胥(ごししょ)。呉と楚の戦いも始まる中、楚の太子に仕える伍子胥の父・伍奢(ごしゃ)と伍尚には、同じ楚の佞臣・費(ひ)無極(むきょく)の陰謀が忍び寄る。費無極に背くことは、楚の王に背くこと=反逆を意味する。信頼できる配下を手に入れたばかりの伍子胥は、配下をどうするのか。己はどこへ向かうのか。下した決断は……。【伍子胥篇?反逆】

呉越春秋 湖底の城(2)

『呉越春秋 湖底の城(2)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体1,600円(税別)

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呉越春秋 湖底の城(2)

講談社文庫
『呉越春秋 湖底の城(2)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体581円(税別)

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三巻 つぎに楚都にくるときは、楚を滅ぼすときだ

伍子胥は、処刑される父と兄を救出するため都に潜入するが、救出はならなかった。己の命を保って脱出できただけでも奇跡的といえた。伍子胥は楚への復讐を心に誓い、国を出て宋をめざす。楚の太子がいるといううわさもあり、配下と集合する地が宋の首都・商丘になっていたからだ。宋に入り見つけた宿の家主は褒(ほう)氏といい、婦人が家を守っていた。婦人は小羊(しょうよう)という名の童子を伍子胥に預かってほしいと頼む。伍子胥らは宋を出て、父が仕えた太子・子木の亡命先である鄭に向かう。壮大なドラマ、伍子胥篇第三巻。

呉越春秋 湖底の城(3)

『呉越春秋 湖底の城(3)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体1,600円(税別)

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四巻 新たな主に、危機が迫る

父の遺言に従い、太子・子木の亡命先である鄭にむかった伍子胥。しかし、子木は鄭への挙兵を計画し討たれてしまう。伍子胥は危地を脱して呉にのがれ、運命的な再会をした小瑰と結婚する。呉の将軍・公子光の客となった伍子胥は、斉に孫武を訪ね、いずれ呉に来て欲しいと要請。その弟子として褒(ほう)小羊(しょうよう)を預ける。その後本格的な呉と楚の戦いが始まった。公子光の作戦により呉は大勝を収めるが、その快進撃ゆえに公子光は王から危険人物と見なされる。再び伍子胥に危機が迫る! 壮大なスケールのドラマ、伍子胥篇のクライマックス!

呉越春秋 湖底の城(4)

『呉越春秋 湖底の城(4)』
著者: 宮城谷昌光
定価:本体1,600円(税別)

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水を意識して書いています

「呉越は書けないと思っていました」

もう春秋はやるまいと思っていたんですよ。呉越は書けないと思っていた。
むずかしいとわかっていたのに、書こうと思ったのは、やはり熱意です。担当編集者の熱意。その熱意に応えられるほどの小説の舞台となれば、呉越しか残っていない。「呉越は書けない」と思っていた頃から十数年経っていましたから、追加の知識もあってようやく「書けるかもしれない」と思ったんですね。最初のテーマは越の重臣となった范蠡(はんれい)を書くというものでした。でもそこからではきつい。どうしようかと考えるうち、范蠡の好敵手となる伍子胥から書けば良いと気づいた。伍子胥は情熱と冷静さを兼備している男ですから、まわりの人間が動きやすくなるんですね。
こういう単純なことに気づくには、本気にならないと駄目なんです。本当に書くとなると踏み込んで調べる。越を書こうと思っていたけれど、むずかしいのなら、まず呉を書こう、伍子胥から書こうと。
伍子胥は資料的に云えば「復讐者」ですよね。そのやり方を考えてみてください。自分の生まれた国の王を敵にしなければならないんです。亡命しなければならないことになってしまったのち、楚という超のつく大国の主を討つには、自分の祖国を討たなければならない。そんなスケールのことを考えられる人が、魅力のない人間であるはずがない。かなりの先見性があるし、支える人間の層の厚さ、人間関係の濃さがある。でも先見性はあるけれど滅んでしまった人。滅びの美しさがあると思います。立ち上がることも滅びることも魅力的な人です。


宮城谷昌光(みやぎたに・まさみつ)

1945年愛知県蒲郡市生まれ。『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞、『重耳』で芸術選奨・文部大臣賞、『子産』で吉川英治文学新人賞を受賞。中国古代に材をとった歴史ロマンの第一人者。『管仲』『楽毅』『晏子』『王家の風日』『奇貨居くべし』『太公望』等の小説、『クラシック 私だけの名曲1001曲』『クラシック千夜一夜』などのエッセイ他著書多数。近著に『三国志』『草原の風』などがある。『呉越春秋 湖底の城』は現在「小説現代」にて連載中。


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