人気絶頂! 乱歩賞作家・川瀬七緒の新機軸・警察ミステリーシリーズ「法医昆虫学捜査官」
【著者が解説──女性捜査官・赤堀涼子が駆使する「法医昆虫学」とは!?】死体に湧く虫の成長と生態系の組まれ方から、死後経過や犯罪環境までも割り出していくという希有な学問。それが法医昆虫学である。たとえば、ある屍肉食種のハエは、生き物が死亡してから必ず十分以内に到着する習性をもっている。そして即座に産卵がおこなわれるのだが、孵化から羽化にいたるまでの日数は、実に正確で狂いがないものだ。 欧米では、この分野が犯罪捜査になくてはならないものにまで成長した。しかし日本では、未だ「目先の変わったおかしなもの」の域を出てはいない。(川瀬七緒)
7月初旬、東京都西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯は、山岳救助隊員の牛久とペアを組み、捜査に加わった。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定月日に赤堀が異を唱えるが、否定される。他方、岩楯と牛久は仙谷村での聞き込みを始め、村で孤立する二つの世帯があることがわかる。──死後経過の謎と、村の怪しい住人たち。遺体の部位はいったいどこに!
『メビウスの守護者』
著者:川瀬七緒
定価:本体1,500円(税別)
第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾・荒川河口の中州で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。捜査本部の岩楯警部補と鰐川は、被害者の所持品の割柄ドライバーや上腕に彫られた変った刺青から、捜査を開始。まず江戸川区の整備工場を徹底して当たることになる。他方赤堀は自分の見解を裏付けるべく、ウジの成長から解析を始め、また科研から手に入れた微物「虫の前脚や棘」によって推理を重ねていった。岩楯たちの捜査と赤堀の推理、二つの交わるところに被害者の残像が見え隠れする!
『水底の棘』
著者:川瀬七緒
定価:本体1,500円(税別)
東京・葛西のトランクルームから女性の腐乱死体が発見された。全裸で遺棄された遺体は損傷が激しく、人相はおろか死亡推定日時の推測すら難しい状態だった。捜査一課の岩楯警部補は、若手刑事の月縞を指名して捜査に乗り出した。検屍を終えてわかったことは、死因が手足を拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所であると思われることの2点だった。発見現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者の赤堀涼子の起用を決定する。赤堀はウジの繁殖状況などから即座に死亡推定日時を割り出し、また殺害状況までも推論する。さらに彼女の注意を引いたのは、「サギソウ」という珍しい植物の種が現場から発見されたことだった。「虫の知らせ」を頼りに、法医昆虫学者が事件の解明に動き出した。
『シンクロニシティ』
著者:川瀬七緒
定価:本体1,500円(税別)
全焼したアパートから1体の焼死体が発見され、放火殺人事件として捜査が開始された。遺体は焼け焦げ炭化して、解剖に回されることに。その過程で、意外な事実が判明する。被害者の腹腔から大量の蠅の幼虫が発見されたのだ。しかも一部は生きた状態で。混乱する現場の署員たちの間に、さらに衝撃が走る。手がかりに「虫」が発見されたせいか、法医昆虫学が捜査に導入されることになる。法医昆虫学はアメリカでは導入済みだが、日本では始めての試み。赤堀涼子という学者が早速紹介され、一課の岩楯警部補と鰐川は昆虫学の力を存分に知らされるのだった。蠅の幼虫は赤堀に何を語ったのか!
『147ヘルツの警鐘』
著者:川瀬七緒
定価:本体1,600円(税別)
1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、2011年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。その後発表した『147ヘルツの警鐘』と『シンクロニシティ』の「法医昆虫学捜査官シリーズ」で、日本では珍しい法医昆虫学を題材にして注目を集める。近著に『桃ノ木坂互助会』。