講談社BOOK倶楽部

狐さんの恋結び 北夏輝

『狐さんの恋結び』

著者:北夏輝

メフィスト賞受賞作『恋都の狐さん』待望の続編!

お面を脱いだ狐さんに「モテ期」到来!?

恋をするなら奈良!

お面を脱いだ狐さんに「モテ期」到来!?

引きこもりで、毒舌で、寂しがりやの狐さんに出会いが。お相手は眼鏡美少女、巻き髪美女、そし てあの──

狐面に着流し姿の「狐さん」は、古都・奈良でも異彩を放つ存在。故あって部屋で陰鬱な日々を過ごしていたが、幼馴染みの揚羽に促され、春日大社へ散歩に向かう。そこで中学の同級生だった「烏」と久々に再会。突然、烏は狐に、揚羽への10年越しの想いを告白し、狐には同僚の美女を紹介するという。だが狐は奈良公園で出会った眼鏡美少女が気になって……

『狐さんの恋結び』
著者:北 夏輝
定価:本体1400円(税別)

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「掟破り!?」のメフィスト賞受賞作、文庫化!

豆を手にすれば恋愛成就の噂がある、東大寺二月堂での節分の豆まき。奈良の女子大に通う「私」は、“20年間彼氏なし”生活からの脱却を願って、豆まきに参加するが、鈴を落としてしまう。拾ったのは、狐のお面を被った着流し姿の奇妙な青年。それが「狐さん」との生涯忘れえない、出逢いだった──。

『恋都(こと)の狐さん』
著者:北 夏輝
定価:本体590円(税別)

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著者メッセージ

 JR奈良駅から各駅停車に揺られること一時間、稲荷駅で降りると目の前に大きな朱塗りの鳥居がでんと構えています。これが全国の稲荷神社の総本宮、伏見稲荷大社へと続く参道です。稲荷山全体が神域とされており、その広大な境内にはいたるところに石や陶器でできた狐がいます。
 メフィスト賞への応募原稿を書く前、稲荷山を巡りながら考えました。大好きな奈良と狐を掛け合わせてみたら、どうだろう。そうして書いたのがデビュー作『恋都の狐さん』です。完成時、出せるものはすべて出しきった状態で、その後は考えていませんでした。しかし、「続編希望」の有り難いお声をいただき、続きを書くこととなりました。
 奈良市街を歩き回りながら、狐さんについて再度思いを巡らせました。彼は普段どんな生活を送っているのか、何がきっかけで狐面を被るようになったのか。その頃、どんな生活を送っていたのだろう。まったく独りぼっちだったわけではあるまい。では、狐と親しくしていた友人とはどんな人なのか……。
 もやもやとした中から、一人の男性が浮かび上がってきました。自他共に変人と認める狐さんとは対照的に、社交的な好青年です。他の町に転校した彼が、なぜまた奈良へ戻ってきたのか。狐と揚羽の関係はどうなるのか。
 考えを巡らせるうちに、やっと狐さんが奈良市街を駆け出しました。
 今回も奈良周辺の描写には、目一杯の愛をもって挑みました。また、狐といえば伏見稲荷でしょう! とここも舞台にしました。書いていてとても楽しかったです。続編と銘打っているものの、これ一冊でも充分楽しんでいただけるかと思います。狐さんの成長と恋の顛末を見守っていただければ、作者として嬉しい限りです。

著者:北夏輝(きた・なつき)

1986年、大阪府生まれ。大学院在学中。『恋都の狐さん』で、第46回メフィスト賞を受賞。近著に『美都(みと)で恋めぐり』がある。

主な登場人物

  • 狐さん:狐面と着物を愛用する奇妙な青年。奇術はプロ並みの腕前。
  • 揚羽:狐の幼馴染みで、狐の食事や掃除などの面倒を見ている。ピアノ講師。
  • 烏:狐の中学時代の同級生。中2の終わりに転校したが、就職を機に奈良に戻る。
  • 春菜:奈良の大学1年生。令嬢で、実家から一緒に来たメイドと暮らす。
  • 七瀬:春菜と暮らすメイド。春菜に「悪い虫」がつかないよう監視している。
  • アヤメ:烏の同僚の巻き髪美女。烏から狐を紹介される。
  • 飯田さん:元医師。奈良界隈の散歩が趣味。

担当者コメント

 第46回メフィスト賞受賞作『恋都の狐さん』の衝撃(!?)の結末をお読みいただいた方から、続きを読みたいという声をたくさん頂戴いたしました。そのリクエストにお応えして、満を持しての続編登場です。舞台は初夏から初秋の奈良(一部、京都も)。幼馴染みの揚羽、そして新キャラ・烏、あの人も、こんな人も登場します。毒舌と意地汚さがパワーアップした狐さんにぜひとも化かされてください。そして、今回の結末も「掟破り」が!? 『恋都の狐さん』の文庫版も同時期に刊行! 未読の方は、ぜひそちらも。もちろん、新作から読んでも、楽しめることうけあいです!!