狐面に着流し姿の「狐さん」は、奈良公園で会った春菜に恋心を抱くが、春菜のメイド七瀬から「無職男性との交際など認めません!」と罵倒され、就活を決意。友人の烏からレクチャーを受ける。一方、以前、狐さんを振った女子大生ビンバは、その理由が勘違いだったと知り、またしても狐さんへの想いをふくらませていく。二人の女性の狭間で狐さんの恋路は如何に?
『狐さんの恋活』
著者:北 夏輝
定価:本体1,400円(税別)
講談社文庫 『美都(みと)で恋めぐり』 4月15日発売予定 |
『狐さんの恋結び』 | 講談社文庫 『恋都(こと)の狐さん』 |
人生には何度かその後の生活を大きく左右することになる転換期があると思います。就職なんてその最たるものではないでしょうか。本書では狐さん(25歳男性・独身・無職)が意中の女性と付き合うべく、就職を決意します。とは言え、職歴も資格も人脈もない狐さんがすぐさま定職に就けるはずがない。案の定、初っ端から躓きました。しかし、ここで諦めるとまっとうな社会人生活はおろか恋愛すらできない!
どうすればいいか、私も狐さんと一緒に頭を捻って考えました。履歴書の書き方、面接対策、どの職種に応募するか……何度も壁にぶち当たり、挫折しかけたこともあります。そのたび、狐さんの幼馴染である揚羽さんや中学時代の同級生・烏くんが頑張れと励ましてくれました。そうして皆で足掻いて書き上げたのが本作です。 『恋都の狐さん』『狐さんの恋結び』から続くシリーズ物ですが、これ一作でも充分楽しんでいただけるよう工夫しました。何かに挫折した経験を持つ方もそうでない方も、本書からささやかな希望を感じていただければと思います。
刊行前に読んでもらった友人曰く「これまでで最も面白かった!」。お手元に置いてゆっくり楽しんでいただけると嬉しいです。
北 夏輝(きた・なつき)
1986年、大阪府生まれ。
2012年に『恋都の狐さん』で、第46回メフィスト賞を受賞しデビュー。
他の著書に『美都で恋めぐり』『狐さんの恋結び』がある。
第46回メフィスト賞受賞作『恋都(こと)の狐さん』は、着流し姿で狐面を被った奇妙な青年「狐さん」が主人公。『狐さんの恋結び』に続いて3作目が刊行されます! お嬢様・春菜との恋を成就させるため、リクルートスーツに身を包み就活を始めた狐さん。しかし、長年の引きこもり生活ゆえ、社会常識がない狐さんに数々の試練(というか笑い)が。果たして狐さんは就職できて、春菜と付き合うことができるのか? もちろん御湯立(みゆたて)神事、若草山焼きなど奈良での行事も盛りだくさん。シリーズ最終作をぜひともお楽しみください!