講談社BOOK倶楽部

『ナイト&シャドウ』柳広司

未来(さき)を読め。銃弾を受けろ。あらゆる危険(リスク)を消せ!

著者メッセージ

 プロの小説家が小説を書くにあたって一番意識するのは〈読者〉である。――と書くと「何をいまさら」と鼻白む向きもあるかもしれないが、これが案外難しい。第一に、読んでもらって、はじめて読者である。当たり前のことだが、読んでもらえなければ読者ではない。  いったいどんな人がこの作品を読んでくれるのか? 年齢も性別も職業も、場合によっては国籍も人種も異なる未知の読者の反応を懸命に想像しながら、一文字一文字、手探 りで書き進めていく。それが小説家の仕事であって、何度やっても難しいものです。  というわけで、柳広司にとって二十二冊目の著作となる本書『ナイト&シャドウ』も、とことん読者にこだわって書き上げました。満足のいく仕上がりになったと自負しています。どうぞ存分にお楽しみ下さい。

あらすじ

知力、体力、先読み能力——すべてが一級のエリートSP・首藤武紀(しゅとうたけのり)は、合衆国シークレットサービスで“異例の研修”を受けることに。初日、銃規制を求めるデモに遭遇した首藤は、突如暴れ出した男を瞬く間に制圧し、人質の少女を助ける。しかしその現場には、大統領暗殺計画を示唆する二枚の写真が残されていた。

『ナイト&シャドウ』
著者:柳広司
定価:1500円(税別)
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書評家コメント

わずか300ページでこの感動、この衝撃!

  • 命・信頼・誇り・沈黙……。緊迫の展開と衝撃の事実から、SPの護るべきものが浮かび上がる。エンタメに徹した柳広司は、こんなにも凄いのか! ——細谷正充氏(文芸評論家)
  • ミステリーでしか表現できない手法でテロ問題に切り込んだ、柳広司の最高傑作を見逃すな! ——末國善己氏(文芸評論家)
  • 矛盾だらけの銃社会アメリカで、不測の事態も予測するSP首藤。この男、凄い。 ——円堂都司昭氏(文芸評論家)
  • これぞプロの技。逆転の連続に酔いつつも、読者よ、油断するな。最後の最後まで絶対に油断するな。 ——村上貴史氏(書評家)
  • まんまと作者の術中に嵌まってしまった! 自然な伏線と巧妙な筆致に唸るばかり。 ——吉野仁氏(書評家)
  • サムライSP、アメリカ上陸。外部に敵を求めがちな時代の空気を斬る新世紀謀略小説の白眉! ——佳多山大地氏(ミステリ評論家)
  • 日本SP最強の男が『ダイ・ハード』を超えた。これはハリウッドで映画化されるべき作品だ! ――香山二三郎(コラムニスト)

著者プロフィール

1967年生まれ。2001年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。09年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。近著に『ロマンス』『怪談』『パラダイス・ロスト』『楽園の蝶』などがある。