同じ中学校に通う、真面目な姉とイケてる妹。
バンギャの姉(23)とアイドルオタクの弟(19)。
大学受験を控えた優等生の娘と、心配性な母親。
教師に憧れる六年生の息子と、大学准教授の父親。
宇宙を愛する妹と、自分の普通さがコンプレックスな姉。
息子家族と一緒に暮らすことになった、おじいちゃん。
赤ちゃんを連れて帰省する、藤子・F・不二雄を敬愛する若い夫婦。
辻村深月(つじむら・みづき)
1980年2月29日生まれ。山梨県出身。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
他の著作に『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』『島はぼくらと』『盲目的な恋と友情』『ハケンアニメ!』など。
『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。
この小説を読むと、まず間違いなく、自分の家族に会いたくなります。それは、自分がこれまで、親や兄弟と過ごした日々を思い出すからです。楽しいことに限らず、しょうもないことで言い合いをしたり、心底腹をたてたりしたことが、一気によみがえってきます。辻村深月さんの小説は、物語としてとても面白いだけではなく、自分でも気がついていなかった感情や思い出を、呼び起こしてくれる力があります。『家族シアター』は、テーマが「家族」だからか、その力が特に強い作品になりました。家族のことを大事にしている人にはもちろん、家族について悩んだこと、いらついたことがある人にこそ、読んでいただきたい一冊です。