家族シアター 辻村深月

辻村深月スペシャル・インタビュー

お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、娘も、息子も、お姉ちゃんも、弟も、妹も孫だって――。

ぶつかり合うのは、近いから。ややこしくも愛おしい、すべての「わが家」の物語。

家族シアター 表紙

『家族シアター』
著者:辻村深月
定価:本体1,500円(税別)

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著者メッセージ

家族というのは、厄介なものです。

一番身近で、あたたかい存在。頼りになるし、大好きで、大事な人たち。

しかし、身近だからこそ遠慮がなくてイライラするし、他人とだったらやらないような衝突もしてしまう。見なくていいところまで見えてしまうせいで、かっこわるいと思うこともたくさんある。

そして、自分でいくら悪口を言ったとしても、いざ他人から悪く言われると急に庇いたくなってしまう――家族というのは、そんなふうに、“大好きだけど、大嫌い”な存在だと思います。

『家族シアター』は、そんな7組の家族が直面する事件を描いた短編集です。

それは新聞に載るような大事件ではないかもしれないですが、当事者たちにとっては真剣そのものな大問題。いわば、家族内の“ささやかな大事件”です。

「“大好きだけど大嫌い”な家族の“ささやかな大事件”」と書くと、矛盾しているように感じますが、きっと、多くの家族の日常は、こうやって流れているのだと思います。

ご自分の家族に引き寄せて読んでいただければ、とても嬉しいです。

著者写真

辻村深月(つじむら・みづき)

1980年2月29日生まれ。山梨県出身。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
他の著作に『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』『島はぼくらと』『盲目的な恋と友情』『ハケンアニメ!』など。
『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。

『家族シアター』担当者コメント

この小説を読むと、まず間違いなく、自分の家族に会いたくなります。それは、自分がこれまで、親や兄弟と過ごした日々を思い出すからです。楽しいことに限らず、しょうもないことで言い合いをしたり、心底腹をたてたりしたことが、一気によみがえってきます。辻村深月さんの小説は、物語としてとても面白いだけではなく、自分でも気がついていなかった感情や思い出を、呼び起こしてくれる力があります。『家族シアター』は、テーマが「家族」だからか、その力が特に強い作品になりました。家族のことを大事にしている人にはもちろん、家族について悩んだこと、いらついたことがある人にこそ、読んでいただきたい一冊です。