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『知ってはいけない2──日本の主権はこうして失われた』矢部宏治

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第3章【PDF:655KB】

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誰も知らない戦後日本
「最大の秘密」がいま明らかになる!

世の中、思いもかけぬことが起こるものです。

たった一年前には誰も予想できなかったことですが、今年〔二〇一八年〕の三月、朝鮮半島で突如として南北の劇的な緊張緩和が始まり、あれよあれよという間に、六月には歴史的な米朝の首脳会談までが実現してしまいました。

平和条約締結へのタイムテーブルはまだわかりませんが、「終戦宣言」そのものは、いつ出されてもおかしくない状況となっています。

実は私たちの暮らす「戦後日本」という国にとって、これは本来、半世紀に一度訪れるか訪れないかと言っていいほどの大きなチャンスのはずなのです。

なぜなら私が本書のPART1『知ってはいけない隠された日本支配の構造』のなかで詳しく述べたように、現在の日本とアメリカの間に存在する異様な従属関係の本質は、いまから七〇年近く前、日本の独立直前に起こった朝鮮戦争の中で生まれた「米軍への主権なき軍事支援体制」、いわゆる「朝鮮戦争レジーム」にあるからです。

ごく簡単にいえば、当時の吉田茂首相と日本の外務省が、独立交渉の場にずっと同席していた米軍の少将(旧安保条約の原案は彼が書いたものです)や大佐や次官補たちから、

「独立はさせてやる。そのかわり、占領中と同じく米軍への軍事支援は続けると約束しろ。いいか。オレたちはいま、朝鮮半島で生きるか死ぬかの戦争をしてるんだ。とにかく軍事の問題については、すべてオレたちの言うことを聞け。わかったな」

と有形無形の圧力をかけられて結んだのが、旧安保条約と行政協定だったわけです。基本的にはそのときの米軍との法的な関係が今も続いている。

「朝鮮戦争がまだ正式に終わっていないことを法的根拠として、米軍が日本の国土と官僚組織を軍事利用しつづける準戦時体制」

それが「戦後日本」という国の本当の姿だったのです。

世界中が首をかしげた安倍首相の行動

本来なら、自分たちの手で解決すべきだったその最大の問題が、まさに〝棚からぼた餅〟といった形で突如、解決の方向へ向かい始めた。そこで日本がやるべきことは、トランプ大統領も加わったこの大きな歴史の流れに対して、ただ合流すればいいだけ。なんの努力も能力もいらない話のはずでした。

ところが今回はそこで、国際社会から見てまったく理解不能な出来事が起こってしまったわけです。すでに多くの海外メディアで報じられたように、この「分断された民族の融和」と「核戦争の回避」という誰もが祝福すべき大きな歴史の流れに対して、世界でただ一ヵ国だけ、なんとかブレーキをかけようと最後まで抵抗しつづけたのが、自国がもっとも核ミサイルの危機にさらされていたはずの日本の首相と外務省だったのです。

いったいなぜ、そんなおかしなことが起こってしまうのか。

ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領をはじめ、世界中の識者たちが首をかしげたのも当然だったといえるでしょう。

なぜ日本だけがまともな主権国家になれないのか

そうした不可思議な「朝鮮戦争レジーム」の構造について解説した、本書のPART1は、おかげさまで一〇万部を超えるベストセラーとなりました。

ですから戦後日本における、アメリカへの異様なまでの従属体制が「なぜ生まれたのか」という謎については、ひとまず解明と説明が終わったと考えています。

そこで本書では、その異様な体制が七〇年たったいまも、
「なぜ、まだつづいているのか」
という、戦後日本の〝最後の謎〟に挑戦することにしました。

第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、多くの中南米諸国、そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、なぜ日本にだけはそれができないのか。

その謎を解くための最大のカギが、いまから六〇年前、現在の安倍晋三首相の祖父である岸信介首相が行った「安保改定」と、そのときアメリカとのあいだで結ばれた「三つの密約」のなかに隠されていたのです。

本書はその〝最後の謎〟について、できるだけわかりやすくレポートしたものです。

「朝鮮戦争レジーム」が、日本列島のなかにだけ残される可能性がある

すでに述べた通り、今回の朝鮮半島での出来事は、日本が外交上、常識的にふるまうことさえできれば、もちろん大きなチャンスなわけですが、実際はその簡単なことがまったくできない可能性が非常に高い。

戦後長らく「朝鮮戦争レジーム」の担い手として政権を独占してきた自民党には、先に触れた安倍首相の行動が象徴するように、今後もその「準戦時体制」を維持して変わらず権力の座に留まりつづけたいという強い〝政治的ベクトル〟が存在するからです。

加えて最大の問題は、これから本書で詳しくご説明するように、現在日本の外務省の中枢は、すでに正常な機能をほとんど失っており、そうした自民党の誤った政治的ベクトルをなにひとつ修正できないことが予想されるからです。

その結果、まったくバカげた話ですが、このままでは本家本元の朝鮮半島で消滅した「朝鮮戦争レジーム」が、その原因である朝鮮戦争が終わったあとも、アメリカとの純粋な二国間関係として、日本列島のなかにだけ半永久的に残されてしまう可能性が高いのです。

私たちには「ポスト戦後日本」の行方を正しく選択する大きな歴史的責任がある

ですから私たちが住む「戦後日本」という国は、いま本当の正念場を迎えていると言えるでしょう。

安倍政権のもとで、ついに最終段階を迎えた感のある「法治国家崩壊状態」を、私たち日本人自身の手で反転させ、これから、

「自らが主権を持ち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の意味での平和国家」
として再生していくことができるのか。

それとも同じ朝鮮戦争レジームから見事に脱却していく韓国(と北朝鮮!)を横目で眺めながら、このまま世界でただ一ヵ国だけ、主権のない米軍への隷属国家として、ひたすら衰退への道を歩んでいってしまうのか。

私たちにはいま、「ポスト戦後日本」の行方を正しく選択する大きな歴史的責任があるのです。

そのために必要な基礎的知識を、これから本書で概観することにいたします。この小さな本が、そうした新しい時代の議論の手がかりとなることを心から願っています。

知ってはいけない2──日本の主権はこうして失われた
矢部宏治 著

定価本体予価880円 + 税
発売日2018年11月14日
発行講談社 現代新書
ISBN978-4065139493
判型新書判
ページ数296ページ

「デモクラTV」で伊勢崎賢治さんと対談しました!

概要

かつて占領下で結ばれた、きわめて不平等な旧安保条約。

それを対等な関係に変えたはずの「安保改定」(1960年)が、
なぜ日本の主権をさらに奪いとっていくことになったのか?

「アメリカによる支配」はなぜつづくのか?

原因は、岸首相がアメリカと結んだ3つの密約にあった!

PART1『知ってはいけない──隠された日本支配の構造』では、戦後日本における、アメリカへの異様なまでの従属体制が「なぜ生まれたのか」という謎については、ひとまず解明と説明が終わったと考えています。

そこで最新作『知ってはいけない2──日本の主権はこうして失われた』では、
その異様な体制が70年たったいまも「なぜつづいているのか」という謎を解き明かします。

第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていたドイツやイタリア、台湾、フィリピン、タイ、パキスタン、多くの中南米諸国、そしていま、ついに韓国までもがそのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めているにもかかわらず、なぜ日本にだけはそれができないのか。

今後どうすれば私たちは、「自らが主権を持ち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の意味での平和国家」として再生していくことができるのか。

10万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!

目次

第1章日本は「記憶をなくした国」である
──外務省・最重要文書は、改ざんされていた
第2章外務省のトップは、何もわかっていない
──三つの密約とその「美しき構造」について
第3章CIAの金は、ロッキード社が配る
──「自民党」という密約がある
第4章辺野古ができても、普天間は返ってこない
──軍事主権の喪失と「帝国の方程式」
第5章米軍は、どんな取り決めも守らない
──国連憲章に隠された「ウラの条項」とは?
終章外務省・最重要文書は、なぜ改ざんされたのか
あとがき──歴史の法則は繰り返す

著者プロフィール

矢部宏治(やべ・こうじ)

1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に10万部を突破したベストセラー『知ってはいけない──隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)のほか、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること──沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)。