講談社BOOK倶楽部

晩年様式集 イン・レイト・スタイル 大江健三郎

大江健三郎『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』

円熟を拒否して大惨事に挑む傑作

おそらく最後の小説を、私は円熟した老作家としてではなく、 フクシマと原発事故のカタストロフィーに追い詰められる 思いで書き続けた。しかし70歳で書いた若い人に希望を語る詩を 新しく引用してしめくくったとも、死んだ友人たちに伝えたい。

作家自身を思わせる主人公・長江古義人(ちょうこう・こぎと)は、 3・11後の動揺の中で、「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」と題した 文章を書き始める。未曽有の社会的危機と深まりゆく自らの老い── 切迫する時間の中で、古義人が語り始めるのは……。 「私は生き直すことができない。しかし/私らは生き直すことができる」 最後に引用されるこの謎めいた詩の意味は、読了後明らかになるだろう。

『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』
著者:大江健三郎
定価:本体1,800円(税別)

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各界から絶賛の声続々!!
  • 「私は生き直すことができない。しかし/私らは生き直すことができる。」最後に差し出されるこの強い肯定を、けっして忘れたくないと思う。
    ──松永美穂さん(ドイツ文学者)
  • 氏ほど切実に「三・一一」に対峙した文学者は私の知る限り他に誰もいない。
    ──大澤信亮さん(文芸評論家)
  • 「苦くて棘だらけ」なこの小説はひたすら堪能するほかない心にしみる魅力を湛えている。
    ──野崎 歓さん(フランス文学者)
  • 厄災と苦悩の影に覆われながら、命をつなぐ人類の希望が感じられる。
    ──吉村千彰さん(朝日新聞)
  • 本作で大江さんは、日本人がこれから担わなければならない<忍耐>について、考え続けていたのかもしれない。
    ──尾崎真理子さん(読売新聞)
  • 全編にに漂う異様な迫力は、この自分の生涯をかけて、原発事故やその後の日本の状況を問いかけているところにあるのだろう。
    ──重里徹也さん(毎日新聞)
  • 生きることへの素晴らしさを発見できる本でした。
    ──水口真佐美さん(ジュンク堂書店西宮店)
  • 並々ならぬ文学者としての強い決意を感じる。
    ──内田剛(三省堂書店 営業本部)
  • はるか後世に届いていく書物として、多くの人がこの本の語り手となってくれればと思います。
    ──竹田勇生さん(紀伊國屋書店 新宿南店)