『叛鬼』
著者:伊東 潤
定価:本体1,600円(税別)
誰よりも早く下剋上を成し遂げた男、長尾景春。
腹悪しき主君・上杉顕定に叛旗を翻し、戦乱の幕は切って落とされた。対するは、かつて兄と慕った巨人・太田道灌。さらには、駿河で勃興する新世代の雄・北条早雲も動き出す。叛乱に次ぐ叛乱は、新たな時代の創造者たちを呼び覚ましていく――
戦国の時代はここより始まる!
室町時代末期、不屈の闘志で守旧勢力に対抗し、戦国時代の扉をこじ開けた男がいた。
その名は長尾景春。
主君・山内上杉顕定との確執、兄とも慕った太田道灌との激闘、そして北条早雲との出会い――。
叛臣や逆徒と呼ばれた一人の男の人生を通して、戦国前夜の関東をダイナミックに描いたのがこの作品です。
長尾景春はよく負けた。しかし負けても短期間で立ち直り、気づくと、どこぞの城に籠り、叛旗を翻している。
こうした、したたかで強靭な精神力こそ、閉塞感漂う現代社会に必要であろう。
景春は、幾度となく訪れる絶望にも決してあきらめず立ち上がった。
そして粘り強く戦い、自らの取られたものを取り返そうとした。
そんな彼の生き様から学ぶことは実に多い。
また、北条早雲を描いた短編集『疾き雲のごとく』(講談社文庫)と併せてお読みいただければ、いっそう戦国黎明期の人間模様がお楽しみいただけると思います。
伊東 潤
伊東 潤(いとう・じゅん)
1960年神奈川県横浜市生まれ。
早稲田大学卒業後、外資系企業に長らく勤務後、執筆業に転じ、歴史小説や歴史に材を取った実用書を相次いで発表。
2011年『戦国鬼譚 惨』で第32回吉川英治文学新人賞候補、『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」受賞、2012年『城を噛ませた男』で第146回直木賞候補となるなど、いまもっとも注目される書き手である。
主な著書に『武田家滅亡』『山河果てるとも』『戦国無常 首獲り』『戦国鬼譚 惨』『幻海 The Legend of Ocean』『戦国鎌倉悲譚 剋』『北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録』『義烈千秋 天狗党西へ』などがある。