二〇〇七年に単行本刊行された『花合せ 濱次お役者双六』から始まる時代小説シリーズ。『花合せ』は選考委員の絶賛を浴びて小説現代長編新人賞を受賞した、田牧大和のデビュー作である。 主人公は、江戸の歌舞伎小屋「森田座」の名題下女形・梅村濱次。役者としてはまだ修行中の身分だが、野心に欠けるおっとりとした性格が災いして稽古もさぼりがちだ。そんな濱次が、道端で見知らぬ娘から奇妙な鉢植えを預かったことから、とんだ騒動に巻き込まれる。謎の娘は何者なのか。そして奇妙な鉢植えは何を意味するのか? わずかに織り交ぜられたファンタジーの要素が結末の余韻を増す、ほのぼのと味わい深い時代ミステリーだ。 シリーズ第二弾『質草破り』では、濱次が長屋にお引っ越し。個性的な住人たちが続々と登場する。また、シリーズ第三弾『翔ぶ梅』では、伝説の名女形・有島香風の在りし日が描かれる。読み進むほど夢中になれる時代小説シリーズとして、着実にファン層を広げている。
『花合せ 濱次お役者双六』
著者:田牧大和
定価:本体495円(税別)
『質草破り 濱次お役者双六
二ます目』
著者:田牧大和
定価:本体600円(税別)
『翔ぶ梅 濱次お役者双六
三ます目』
著者:田牧大和
定価:本体629円(税別)
『半可心中 濱次お役者双六』
著者:田牧大和
定価:本体750円(税別)