講談社BOOK倶楽部

今日のごちそう 橋本紡

『今日のごちそう』

著者:橋本紡

おいしいものいろいろ詰め合わせ心がほっこりあたたまる極上お料理小説

悲しい時もせつない時もごはんが元気を連れてくる

とくべつな日ではないけれど、それぞれのごはんがごちそうになる

今日も明日も、ごはんを食べる。一人で、二人で、家族そろって。誰にでもある、ごくふつうの日の料理の風景を繊細に丁寧に綴った23の物語。それぞれのメニューに材料リストつき。

『今日のごちそう』
著者:橋本紡
定価:本体1,400円(税別)

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伊達巻
ごまかしのカルボナーラ

アンコウ鍋
花見弁当

クロックマダム
ラタトゥイユ

ココナッツミルクのカレー
ローストチキン

イラスト/木野聡子

著者:橋本紡さんQ&A

――新刊『今日のごちそう』は、どんな作品ですか?

A.これは、原稿用紙10枚の掌編を月に1本、という枠で2年間連載したものです。この枚数で毎回毎回、設定を作り、小説としての読みどころを作っていくのは大変な作業で、とても鍛えられました。小説を書く筋トレを積んだような感じです(笑)。いま読み返すと、書いた当時のことを思い出したり、文体も2年の間に変わったりしていて面白いですね。

――おいしそうな料理がたくさん登場しますが、橋本さんご自身がお料理がお好きなのでしょうか。

A.はい。料理は好きでよく作ります。作品に出てくるメニューは、それを書いた日の我が家の晩ごはんです。ただ手料理というのは、“だいたい”で作って、作るたびに少しずつ手順も味も変わるものだと思っています。あまりきちんとしたレシピに沿って作っているわけではないんです。豆をじっくり煮たりするのも好きなんですが、最近いそがしくて、なかなかできないのが悲しいですね。

――作品には、恋愛中の女性や若い夫婦、小学生からおじいさんまで、さまざまな主人公のドラマが描かれていますが、ご自身としてとくに気に入っているお話はありますか?

A.高校生の男の子と女の子が主人公の「うどん」というお話があるのですが、それに出てくる男の子の明るいキャラクターとか、二人の関係が少しずつ動いていく感じは気に入っていますね。小道具のマニキュアの描き方とか。あとは子どものいない夫婦に姑が電話をかけてきて……という「漬け物」も好きです。小説には季節の移り変わりなどの情景が大切だと思っているのですが、このお話では散った桜を描いています。これからもこういった「大人の小説」を書いていきたいと思っています。

橋本紡プロフィール

三重県生まれ。
1997年第4回電撃小説大賞金賞を受賞しデビュー。
「リバーズ・エンド」「半分の月がのぼる空」シリーズなどで人気を博す。
2006年に『流れ星が消えないうちに』を発表して以降、一派文芸作品を多く手がけている。
著書に『もうすぐ』、『葉桜』、『イルミネーション・キス』など。