第147回芥川賞候補作!
短篇五芒星 舞城王太郎
怒り、悲しみ、喜び、涙する。ここに舞城文学のすべてがある。
美しい馬の地/アユの嫁/四点リレー怪談/バーベル・ザ・バーバリアン/あうだうだう
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衝動で動き出すだろ?動き出す以上、何か結果っつうか、答みたいなもんが欲しくなるだろ?その衝動にも何か意味付けしたくなるっつうか、まさか何にもないなんて思いたくないだろ?でもさ、そのまさかなんだよ。衝動に根拠とか理由とかないから。まったくのゼロからいきなりポンと生まれて人をぐいぐい動かしちゃうのが衝動ってもんだよ。そんなもんで動き続けてもまともな結果にも答えにも辿り着かないし、そもそもの意味も何もないんだ。人を迷わせる悪魔だよ。惑わせてるんじゃない、ドーン!と一発最初に背中を押すだけで実際に迷路にまで引きずり込むのがその衝動って糞だよ
――「美しい馬の地」より
『短篇五芒星』
著者:舞城王太郎
定価:本体1,000円(税別)
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1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞してデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。2004年「コールドスナップ」(トム・ジョーンズ/ファウスト2号)で翻訳小説を、2007年〜2008年、東京都写真美術館で、書き下ろし小説「舞城小説粉吹雪」の創作過程をTypeTraceを使い記憶・再生する作品を展示。
2010年には書き下ろし原案を元に演劇版、映画版「NECK」を上演。同時に、講談社ノベルスと電撃文庫のコラボレーション企画として、「魔界探偵 冥王星O」シリーズを、作家の乙一、秋田禎信、入間人間、折口良乃、相生生音らと、覆面作家「越前魔太郎」の共通ペンネーム作品として共同執筆。
2012年夏、東京都現代美術館にて上映の映画「巨神兵東京に現わる」言葉担当。
小説としては、純文学、ミステリ、ライトノベル、そして、漫画、漫画原作、映像作品などジャンルに跨った幅広い活躍を見せている。