眉目秀麗、文武両道。誰にでも好かれる優しさを持ち、その才覚で「ジェントルマン」の名を欲しいままにしている青年、坂井漱太郎。高校時代から、そんな彼の姿をどこか冷ややかに見つめてた同級生の夢生。
しかし、ある嵐の日、教室に忘れ物を取りに帰った夢生は、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃することになる。それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった――。
完璧な男の裏にある、道徳の汚れ。その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが……。
ままならない恋の究極、生と性の残酷さを描ききる、驚愕のピカレスク長篇小説。
『ジェントルマン』
著者:山田詠美
定価:本体1,400円(税別)
1959年東京生まれ。
1985年、「ベッドタイムアイズ」で第22回文藝賞を受賞しデビュー。
1987年に『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で第97回直木三十五賞、1989年に『風葬の教室』で第17回平林たい子文学賞、1991年に『トラッシュ』で第30回女流文学賞、九六年に『アニマル・ロジック』で第24回泉鏡花賞、2001年に『A2Z』で第52回読売文学賞、2005年に『風味絶佳』で第41回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。
著書に『ぼくは勉強ができない』『マグネット』『姫君』『PAY DAY!!!』『学問』『タイニーストーリーズ』など多数。
ただ事ではない。
サスペンデッドな宙吊り感が、読者を釘付けにして離さない。
2011年、文学シーンの掉尾を飾る必読の名作。【「ダ・ヴィンチ」2月号】
恐ろしい話だ。だが、終わりまで絶対に目が離せなくなる。
――大澤真幸氏【「群像」1月号】
様々な性と愛の形、凄絶な結末。息継ぎさせないほど緊張感の高い小説だが、かといって、行間に流れている空気はどこまでも穏やかである。これこそが読者を引きつけて離さない魔力なのだろう。――楊逸氏【朝日新聞12/18付書評】
明晰で小気味よい文章と核心をつくアフォリズム。山田詠美の美点はそのままに、新境地を感じさせるピカレスク長編【産経新聞1/8付】
自分の価値観が、拠り所を失ってさまよっている。紳士という怪物の破壊力は、半端じゃない。――瀧井朝世氏【「文藝」2012年春季号】
……ほか、読売新聞(1/10書評)、日経新聞(2011/12/21)、週間朝日(2/10号)、日経エンタテインメント!(1月号)、GINGER(12月号)、BAILA(2月号)、VOGUE(2月号)クロワッサンPremium(3月号)などなど、掲載誌多数!
凄い本です!久々に完成された美しい小説を読ませて頂きました――アバンティブックセンター 安西京子さん
誰かを手に入れることが、こんなに恐ろしいことだとは思いませんでした。――ジュンク堂書店 新宿店 勝間準さん
自己愛、同性愛、兄妹愛……人は偏愛に溺れる。
人間の本質を見た気がして、読後しばし茫然としました。――TSUTAYA BOOKS 北野有希子さん
言い知れない緊張感に酔わされました。色彩と音楽を自然にまとう映画みたいな作品!――ジュンク堂書店 天満橋店 山下美緒子さん
この愛の結末は、是か非か!?――ヒバリヤ書店 河合禎さん
恋愛小説とは、ひと味もふた味も違う深(真?)愛小説。山田詠美の不埒な世界に、ずっと溺れていたい。――紀伊國屋書店 新宿本店 今井麻夕美さん
読後、「あの人はジェントルマンだ」なんて聞くとビクビクする。いるかもしれないのだ、すぐ近くに……。――ジュンク堂書店 吉祥寺店 松川智枝さん
“正常”と“狂気”の紙一重、“光”と“闇”の一体性。危うくもっていかれそうになりました。――くまざわ書店 松戸店 阿久津武信さん
登場人物たちのあまりに濃厚な愛と性に酔った。(福岡県・20代女性)
巧みな構成、皮膚に突き刺さるセリフ。「声の音質まで伝わる職人芸」に、素直に魅了される。(埼玉県・40代男性)
私たちの魂を揺さぶる作品。醜いのに美しい、恐ろしいのに愛しい、そんな物語。(愛知県・40代女性)
あらゆる社会的規範から解放されているが故に、「純愛」としかいいようがないインモラルな恋。衝撃的な作品。(東京都・40代男性)
先に読み進むことに怖さを感じながらも、読むのを止められなかった。愛ゆえのラストに震えた。(神奈川県・30代女性)
僕の期待をすべて裏切る展開。読後の余韻が半端なかった。(石川県・10代男性)
今までの著者のどの作品とも異なる、極上の「凄み」がこの物語にはある。(兵庫県・30代男性)
予想もしなかったラストに、本を持ったまましばらくの間固まってしまいました。残酷で残虐、それなのに文章の端々に美しさを失わない。感嘆の一言に尽きます。(兵庫県・20代女性)
道徳観も倫理観も忘れて、ただただ夢生と漱太郎の関係だけを見つめていました。決して叶うはずのなかった永遠という夢を生み出した、山田先生の筆力に脱帽です。(岩手県・30代女性)
とうとうこんな作品に出逢ってしまった。混沌・矛盾をひっくるめたこの世の縮図を『ジェントルマン』は魅せてくれた。美術館で完璧な世界観を備えた絵の前で動けなくなる、そんな作品。(神奈川県・30代女性)
読後、涙が出てきた。愛とか恋とかでは言い表せない。これは『思い』の物語だ。(東京都・40代女性)
登場人物たちの、「たった一人」を求める姿に引き込まれていった。「求める」などという生半可なものではなく、「所有」あるいは「同化」するような愛。肌で読んだ感じがした。(埼玉県・30代女性)
初めて読む山田詠美さんの世界にノックダウン!強烈でありながら静謐。(鹿児島県・40代女性)