『藪医 ふらここ堂』朝井まかて

家族、夫婦、子育て、はては「恋」まで診立てます。

天野三哲(あまのさんてつ)は江戸・神田三河町で開業している小児医。「面倒臭ぇ」が口癖で、朝寝坊する、患者を選り好みする、面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう、近所でも有名な藪医者だ。ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくる。三哲の娘・おゆん、弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さん、男前の薬種商・佐吉など、周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂はスッタモンダの大騒ぎに──。

『藪医 ふらここ堂』表紙

『藪医 ふらここ堂』
著者:朝井まかて
定価:本体1,600円(税別)

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朝井まかて×内田春菊対談

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著者直筆メッセージ

書店員コメント

自分のこれからに焦りを感じている人におすすめです。(宮脇書店・本店/藤村結香さん)

お江戸の女子も仕事と恋と自分探しに悩んでいるのです。(明正堂・NTT上野店/金杉由美さん)

町全体で子育てしているようなあったかい空気が昔の生活には流れていたんだなあ。笑いあり、涙あり、なつかしい人間ドラマを読んだ気がします。(有隣堂・伊勢佐木町本店/佐伯敦子さん)

やさしさ、人情味溢れた作品に、心の奥からぽかぽかしました。(丸善・名古屋本店/竹腰香里さん)

活き活きと躍動する江戸市井の人情と情景。あたり前の人間の営み、その愛おしさを改めて嚙みしめた。(三省堂書店・営業企画室/内田剛さん)

三哲さん好きです!! 漢前すぎます!! 三哲さんが藪か名医かは問題ではない。この物語のテンポにいつの間にかのめりこんでいました。(ジュンク堂書店・西宮店/水口真佐美さん)

編集者コメント

これまでの作品がすべて書き下ろしの著者にとって、本書は初めての連載でした。小説現代で連載を始めていただくに当たって、テーマに定めたのが「子育て」です。医学が進歩している現代と違って、かつては無事に大きく育つ子どもがずっと少なく、江戸時代には死人の七割が子どもだったそうです。本作にも書かれている「七歳までは神のうち」という言葉にはそういう背景があります。

とはいえ、そこでシリアスに転がっていかないのが朝井ワールドです。国家試験による医師免許なんてものはなく、誰でも自称さえすれば医者になれたこの時代に、いい加減でスケベでものぐさな、藪の小児医がどんな騒動を巻き起こすでしょうか。子育てのみにとどまらず、家族や夫婦の問題、そして江戸の恋バナをも交えて展開する『藪医 ふらここ堂』を、どうぞお楽しみください。

著者プロフィール

朝井まかて(あさい・まかて)

1959年、大阪生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の一生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年に同書で第150回直木賞を受賞。直木賞受賞第1作『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞を受賞した。2015年には、既に文庫になっている『すかたん』が、大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本Osaka Book One Project 2015年度選定作に選ばれた。他の著書に『ちゃんちゃら』『先生のお庭番』『ぬけまいる』『御松茸騒動』がある。

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