講談社BOOK倶楽部

道化師の蝶 円城塔

第146回 芥川賞受賞作

道化師の蝶

円城 塔

未体験の面白さ!挑みたくなる難しさ!

川上弘美・島田雅彦両選考委員大絶賛!

「2回読んだが2回とも眠っちゃった」「俺は絶対認めない」など、未知との遭遇に選考会は大紛糾!

「新時代」の扉を蹴破る問題作

表紙
理系の異色作家が抽出した文学の”純粋”
比類なき想像力で圧倒する世界文学!

正体不明&行方不明の作家、友幸友幸。
作家を捜す富豪、エイブラムス氏。
氏のエージェントで友幸友幸の翻訳者「わたし」。
小説内をすりぬける架空の蝶、通称「道化師」。
東京−シアトル−モロッコ−サンフランシスコと、 世界各地で繰り広げられる“追いかけっこ”と“物語”はやがて、 “小説と言語”の謎を浮かび上がらせてゆく――。

『道化師の蝶』
著者:円城 塔
定価:本体1,300円(税別)
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著者コメント
円城塔と申します。
第146回芥川龍之介賞を頂きまして、身辺不意に騒がしくなったりしておりますが、現実感が追いつきません。
すごいな。というのは当今の印刷技術で、既に受賞作が単行本になっています。当初、2月の21日に刊行という噂をamazonで見かけ、それが2月の1日となり、最終的には、1月26日には店頭に並びはじめるらしいということになり。
そんなスケジュールを小説に書くと、リアリティがない、と言われそうです。いくらなんでも1週間と少しで数万部の製本は無理ではないか。こうして実際目にしてみても、「魔法か」という気分が抜けません。
事実を書いてもおかしく見える。リアルに見えない。書き方が悪いのではと考えても、本ができ上がるというだけの話です。他の書き方はむしろない。してみると、言葉というのはどこかおかしなものなのではと思うわけです。
現実に合わせて言葉自体も変わっていくし、読まれ方も変わっていく。
こうして戸惑う自分の言葉は、まだまだ現実に追いつかないな、と思うわけです。
主にそんな戸惑いを軸に書いてきました。もしも著作をお読みいただき、戸惑い、笑って頂けたなら、それ以上の幸せはありません。
著者紹介

1972年北海道生まれ。
東北大学理学部物理学科卒業。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。
北大や京大などの研究員を経て、2007年「オブ・ザ・ベースボール」で文學界新人賞、2010年『烏有此譚』で野間文芸新人賞、2011年に早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。他の作品に『Self-Reference ENGINE』『Boy's Surface』『後藤さんのこと』『これはペンです』などがある。

烏有此譚
円城塔の原点。野間文芸新人賞受賞作

『烏有此譚』
定価:本体1,500円(税別)
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